雇っていたホステスに対する給与の源泉徴収分を税務署に納めなかったとして、福岡地検がキャバクラ店経営者ら3人を逮捕しました。 キャバクラ店経営者は福岡などに十を超える店舗を持っていました。この経営者と、経営補佐をしていた夫、そして経理担当者は共謀。従業員に対して支払った給与から約3億7千万円を源泉徴収していましたが、それを税務署に納付しなかった疑いが持たれています。
平成25事務年度の所得税調査で発覚した申告漏れや所得隠しで、1件あたりの申告漏れ所得金額が高額だった業種のワースト3は、「風俗業」(3329万円)と「キャバレー」(1972万円)、「バー」(1226万円)。税務当局などはこうした業種に目を光らせており、今回のキャバクラにもメスが入ったようです。
風俗業の無申告では、知人同士で風俗店を営業していた3人(A~C)が、その所得を隠蔽したケースが25事務年度に発覚しています。A、B、Cは思惑・利害が一致し、税申告しませんでした。さらに、Aの妻が代表を務める法人から、Bに対して「原稿料」を支払っているかのように装ったそうです。Bはその法人から受け取った源泉所得税未納の支払い調書を使って、文筆業として還付申告書を提出し、不正に還付金を得ていたとのことです。
◆住民票コードのマスキング
住民票を取り寄せると、住民票コードという欄があることを確認できます。しかし、その欄は記載省略又は空欄になっています。 本人又は同一世帯員から住民票コードを記載することを『請求』されない限り住民票の写しに記載されないことになっています。代理人による請求の場合は、「住民票コード記載」の旨が明記された委任状が必要で、その場合でも、直接代理人に「住民票コード記載の住民票」を渡すことはなく、請求者本人の住所に郵便で送付されることになります。
◆マイナンバーのマスキング
源泉徴収票などにマイナンバー記載欄が設けられことになりましたが、住民票と同じく、その交付時にはマスキングして空欄にするべきで、電算処理ではそのようにシステム構築することが望まれます。 マイナンバーを記載することが期待される文書は、民から官、官から官、へ渡されるものであって、民から民、官から民、へ渡されるものには番号情報は不要で、むしろ他人に情報を不用意に開示することを防止するためにも非開示でなければなりません。
◆マイナンバーの管理
住民票コードは日本国内の全住民に通知されているのですが、自分に通知された番号を管理していて、知っている人は滅多にいないと思います。 マイナンバーもある程度は同じことになります。そして、その開示・提供を強制することはできません。 源泉徴収票等の発行者についても、マイナンバーが記載されるようにすることは、努力義務とされてはいるものの、他人に強制するような努力までは要求されていません。
◆個人事業者のマイナンバー
法人のマイナンバーは登記簿の番号を基礎としており、公表されることにもなっているので、源泉徴収票等発行社としてのマイナンバー記載に特に不都合はありませんが、税理士も含め個人事業者の場合は、発行する源泉徴収票等の発行者名の欄に個人のマイナンバーをも記載することになるので、民から民への交付となるものには、マスキングしておく必要があります。
国税庁は、2013事務年度(2014年6月までの1年間)における、ネット取引調査実態を公表しました。 それによりますと、ネット取引を行っている個人事業者などを対象に前年度比5.5%減の1,782件を実地調査した結果、同12.0%増の1件当たり平均1,222万円の申告漏れ所得金額が把握されました。
この申告漏れ額は、同時期の実地調査における特別調査・一般調査全体での1件平均810万円の約1.5倍となっております。 申告漏れ所得金額の総額は、218億円(前事務年度206億円)にのぼります。
調査件数1,782件を取引区分別にみてみますと、ホームページを開設し、消費者から直接受注するオンラインショッピングを行っている「ネット通販」が611件(1件当たり申告漏れ841万円)、「ネットオークション」が430件(同1,007万円)、「ネット広告」が283件(同2,223万円)、「ネットトレード」が144件(同1,712万円)、「コンテンツ配信」が19件(同1,239万円)、出会い系サイトなど「その他のネット取引」が295件(同1,123万円)となりました。
また、調査事例では、調査対象者Aは、確定申告の状況や税務当局が保有する各種情報から、事業を営む一方で、ネットオークションでオンラインゲームのアイテム取引を行っており、多額の利益を得ているにもかかわらず、申告していないことが想定され、調査により、本人が使用しているパソコンから、インターネットバンキングに本人名義の口座を開設している事実が挙げられております。
調査結果は、インターネットバンキングの取引履歴を確認したところ、ネットオークションにおいてオンラインゲームのアイテム取引を行い、多額の利益を得ている事実が発覚し、Aに対して、所得税2年分の申告漏れ所得金額約7,000万円について追徴税額(加算税を含む)約2,900万円及び消費税1年分の追徴税額(同)約80万円が課税されました。 ネット取引は、無店舗による事業形態となるため、その把握は困難と思われますが、国税当局では、あらゆる資料情報を収集・分析して適正な課税に努めております。
◆医療費の支払いが高額になった時
けがや病気で入院等をし、医療費の支払額が高額になった時、自己負担が一定の額を超えた場合、申請により後から払い戻される制度が健康保険の{高額療養費制度}です。
高額になる事が事前に分かる場合には「限度額適用認定証」を保険者に交付してもらい医療機関に提示しておくこともできます。その場合は支払い時に減免された額を支払うだけで一時的な大きな負担をしなくても済むようになっています。
◆払い戻しを受ける場合は
高額療養費を申請して払い戻してもらうには病院等の領収証も必要になりますが、病院は保険者に提出される診療報酬明細書(レセプト)の審査を経てから支払いが行われるので診察月から3ヶ月以上はかかるのが普通です。申請は全国社会保険協会や加入している健康保険組合です。
また、被保険者が同じ月に入院や通院があったり、複数の医療機関に受診したり、被扶養者が医療機関に受診した時は自己負担限度額を世帯で合算する事が出来ます。さらに高額医療費を受けた月が直近12カ月間に3回以上あった時は4回目から自己負担額が軽減されます(多数該当)。
◆平成27年1月から自己負担限度額改定
これまで70歳未満の被保険者に係る自己負担限度額は所得区分が3段階でした。改正では上位区分が増え次のように5段階に区分されます。
①標準報酬月額83万円以上の人
252,600円+(医療費-842,000円)×1%(多数該当限度額140,100円)
②標準報酬月額53万円以上83万円未満
167,400円+(医療費-558,000円)×1%(多数該当限度額93,000円)
③標準報酬月額28万円以上53万円未満
80,100円+(医療費267,000円)×1%(多数該当限度額44,400円)
④標準報酬月額28万円未満の人
57,600円(多数該当限度額44,400円)
⑤市町村民税が非課税の人
35,400円(多数該当限度額24,600円)
今回は70歳以上の方の変更はありません。
国税不服審判所は最新裁決事例として、ウェブカメラを通じて映像を見せながらパソコン上で相手と会話する「ライブチャット」の必要経費について争った納税者を紹介しています。
Aさんは、「着飾った自分の姿」をウェブカメラで映し、専門サイトに登録する男性会員とライブチャットをしていました。そして、男性会員のアクセス時間に応じた報酬がサイトから支払われていたそうです。
しかしAさんは所得税の確定申告をしていなかったため、税務当局から所得税の各決定処分と無申告加算税の各賦課決定処分を受けました。
争点は、税務当局が認めなかったライブチャットの必要経費。パソコンやウェブカメラの購入費用、衣服代、部屋の装飾費用、美容に関する費用などを必要経費として認めるべきだとAさんは主張しました。
国税不服審判所の判断は、まずパソコンの購入費については、一部経費にすることを認めるものでした。Aさんのライブチャットの〝主戦場〟は、リビングダイニングに設置されたデスクトップ。しかし、ノートパソコンを使って寝室や風呂場でやり取りをすることも多かったといいます。
審判所はこうしたことも踏まえ、それぞれ業務の用に供していたと認めました。また、映像を配信するためのウェブカメラは「備品費」、インターネットの接続料金は「通信費」として必要経費だとしました。
一方、衣服代や部屋の装飾費用、美容に関する費用などは、審判所も税務当局同様に必要経費と認めませんでした。 例えば衣装代。Aさんは「同じ衣服や下着を着ているとあきられる」として、バリエーションを増やすために大量購入。セーラー服や水着など、コスプレのような服を着ることもありました。
しかしこれらは、「業務のために必要なもの」とは認められず、さらにそもそも商品を購入した事実を証明する証拠が不十分だったため、必要経費にはならないと審判所に判断されたのです。
◆遺産課税と遺産取得課税 相続の課税方式には、遺産課税と遺産取得課税があります。前者は遺産そのものに課税する方式であり、後者は遺産を取得した者に課税する方式で、現行の相続税は、法定相続分を併用した遺産取得者課税です。
例えば、被相続人の財産1億円、債務1億円で、相続人が長男と次男の2人の場合、遺産課税では、財産1億円-債務1億円、結果、純財産はゼロとなり相続税の課税はありません。
一方、遺産取得者課税である現行の相続税では、被相続人の純財産がゼロだからといって必ずしも相続税がゼロということにはなりません。債務の承継如何です。
◆債務の分割(債務の引受)の是非 現行の相続税では、各相続人が取得した純資産価額(課税価格)をベースに相続税額を計算します。
先の例ですが、長男が1億円の債務のみを全額承継した場合、長男の取得した財産はマイナス1億円の財産、相続税ではマイナスの取得財産がありませんので、債務額1億円は切り捨てられ、長男の純資産価額はゼロとなります。
一方、この切り捨てられた債務は、次男の課税価格から控除できませんので、次男が相続した1億円が課税価格となり、相続税の課税が生じます。
この債務の分割ですが、民法では、遺産分割の対象にならず、相続人の法定相続分に応じて当然に分割して承継されると解されています。
先の例では、債務の承継は、長男5千万円、次男5千万円となります。 一方、現行の相続税では、相続人がそれぞれ実際に負担する債務の額について債務控除を認めています。つまり、債務の分割を前提した申告を容認しています。先の例では、次男1億円とすることも可で、債務の承継は自由です。もちろん、債務の分割は当事者間では有効ですが債権者の同意がなければその効力はありません。
◆債務の分割と贈与 相続債務について、民法のように解すると、長男の法定相続分以上の債務引受は代償分割であり、代償に見合う財産を次男から取得していない以上、その分は次男に対する贈与である、との主張もあります。
しかし、現行の相続税では、被相続人の積極財産と同様、債務についても分割を容認していますので、法定相続分を超える債務の承継があったとしても贈与税の課税が生じないものと思われます。
決算書は経営者にとってどんな意味があるのか考えてみましょう。
決算書の作成目的は大きく二つに分けられます。一つは経営者が自分の会社の経営状況を正確に把握するためであり、もう一つは会社外部の株主、債権者などの利害関係者に対して会社の財務状況を説明するためです。会社の内容を正しく知ることは、会社が成長、発展するための基礎ですから、経営者は前向きにとらえることができますが、株主や債権者などへの外部向けの説明は、法的に強制されているからやむをえず行っている、といったとらえ方をしがちです。しかし、外部向けの説明を軽視してはいけません。決算書は経営者を守る最大の盾となるからです。
決算書の出発点は株主に対する財産説明にあります。会社は株主が資金を出し合って作ったものですから、会社の所有者は株主です。小規模なら、少人数の株主が自ら資金を出し合い、自分で経営することができますから、外部からの資金提供は不要であり、外の人間に財務状況を説明する必要はありません。しかし、会社の規模が大きくなると、株主数が多くなり、経営者と株主は異なってきます。また、資金調達も株主資本に加えて、銀行などの債権者も出てきます。すると、株主や債権者は他人である会社に自らの資金の運用を託しているのですから、会社を経営する経営者は株主や債権者に対して預かった財産の運用結果、つまり当初預かった財産をどれくらい増やしたのか、あるいは減らしてしまったのかを説明しなければなりません。その説明書が決算書です。
他人の財産を預かる受託責任には重いものがあります。その運用責任を解除するのが決算書なのです。
株主や債権者は決算書の成績を見て、資金提供の可否を決めます。成績が満足いくものであれば、資金提供者は現在提供している資金の継続、あるいは増額を決めるでしょうし、不満なら資金を引き上げます。決算書で財産報告の説明をすることによって、経営者は財産の運用受託責任から解放されます。結果が良かろうが、悪かろうが、結果報告をしたことにより、財産運用責任は経営者から資金提供者に移行し、そこからは資金提供者の判断の世界に入ります。結果が悪ければ“経営者無能”という烙印を押されることにはなりますが、経営者はそれ以上の責任を負うことはありません。
ただし、責任を解除されるのは正しい財産報告をした場合に限ります。嘘の財産報告では、責任解除はされません。表面的には解除されているように見えても、嘘の財産報告に基づいて、資金提供者が資金を出し続け資金を失えば、責任は経営者に戻されてしまいます。そのときは、経営者は“無能”に加えて“犯罪者”にもなるのです。
正しい決算書は経営者を保護する強力な防御壁として機能します。外部の利害関係者に対して、嘘をつかず、誠実に決算書で説明することが経営者自身を守ることになります。決算書で嘘をつく限り、過去のことを心配し続けなければなりません。それは前向きな経営の阻害要因となります。経営者は過去の実績と責任はすべて決算書に放り込んで、後顧の憂いなく、これからの経営活動に邁進すればいいのです。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
資産課税については、改正項目の多くは拡充、期限の延長です。以下、その内容を概観していきます。
●住宅取得等資金贈与の非課税枠の見直し
直系尊属から贈与された住宅取得等資金の非課税措置については、その適用期限を平成31年6月30日まで延長しています。また、非課税限度額についても、住宅取得等に消費税10%が適用される場合とそれ以外の場合に分け、その上で、良質な住宅とそれ以外に区分し、消費税10%適用の場合、住宅取得に係る契約の締結期間が平成28年10月~平成29年9月までは、良質な住宅取得には非課税枠は最大3,000万円、それ以外の住宅取得には最大2,500万円とする等の改正が行われています。
さらに、良質な住宅家屋の範囲に、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅家屋等が加えられています。なお、東日本大震災の被災者に関しても一部非課税限度額が異なるものの同様な改正がなされています。
●結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置
具体的な内容は、①親・祖父母(贈与者)は金融機関に子・孫(受贈者20歳以上50歳未満)名義の口座を開設し、②当該口座に結婚・子育て資金を一括して拠出、③子・孫ごとに1,000万円を非課税とする、④贈与者死亡時の残高を相続財産に加算するが2割加算はない、⑤受贈者が50歳に達する日に口座は終了し残高があれば贈与税を課税、⑥適用期限は、平成27年4月1日~平成31年3月31日まで、とするものです。なお、結婚・子育て資金の払出し可能な使途ですが、結婚費用(限度額300万円)、不妊治療、子の保育費、出産費用等が挙げられています。
●教育資金贈与の一部見直しと期限延長
適用期限は、平成31年3月31日まで延長、そして、特例適用対象となる教育資金の使途の範囲に、通学定期代、留学渡航費等が加えられています。
●非上場株式に係る納税猶予の一部見直し
非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予について、事業承継の円滑化の観点から贈与税の納税義務が生じないよう一部改正がなされています。具体的には、1代目が存命中に、2代目が3代目に株式を贈与した場合(3代目が納税猶予制度を活用して再贈与を受けること)には、猶予されていた贈与税の納税義務が免除される等の改正です。
倒壊などの恐れがある危険な空き家の撤去を促すため、政府は住宅用地の固定資産税を6分の1に軽減する優遇措置を改正する見通しです。
近隣住民などに危険を及ぼす恐れがあると国が指定した「特定空き家」については優遇対象から外すことになります。来年からの見直しを目指しています。
空き家の増加は全国で問題となっています。近隣住民に防犯・防災の側面で多大な迷惑を掛けてしまうリスクも高いのです。 昨年11月には、空き家に関する問題への国の取り組み方針を規定した「空き家対策特措法」が成立しました。
同法に基づき、国は平成27年から、特に危険が大きい「特定空き家」の指定を始めます。指定された空き家については、200㎡以下の住宅用地の課税標準額が更地(固定資産税評価額)の6分の1となる特例の対象となりません。
固定資産税上の優遇をなくすことで、空き家の自発的な撤去を促す狙いです。政府は都市部の商業地に適用されている固定資産税の軽減措置も見直す方針です。
平成27年度税制改正大綱では、「特定空家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の対象から除外する措置を講ずる」としています。