2018年4月30日月曜日

国民年金保険料 学生納付特例と追納

◆学生納付特例制度

 所得の少ない学生が、国民年金被保険者の場合、保険料の納付を先送り(猶予)できる制度です。

 学生納付特例制度を利用していると病気やけがで障害が残った時に障害年金が受給できます。

 保険料の納付が先送りにできる制度と言っても将来において猶予期間に対する保険料を必ず納付しなければならないわけではないのですが、納付しなければ年金額には反映されません。

 将来の年金額には反映されないと知った上で後からこの期間の分の保険料を納めない人もいます。

 一方で将来受け取る年金を増やしたいと考えれば追納制度で保険料を納めます。

 また、猶予期間は将来の年金の受給資格期間には算入されます。

◆追納制度とは

 追納は保険料を免除されていた期間や保険料納付猶予制度を利用していた期間において後から保険料を納付する事ができる制度です。

 追納を希望する場合は、年金事務所で追納の申し込みをします。

 厚生労働大臣の承認を受け納付書が渡されますのでその納付書で支払います。

 追納については現在口座振替やクレジット支払いはありません。

 追納のできる期間は追納が承認された月の前10年以内の免除・猶予期間に限られています。

 例えば平成30年4月分の追納は平成40年4月までで、承認された期間の内、古い期間から納付しなければならない事になっています。

 追納は保険料の納付猶予を受けた翌年度から起算して3年度以降に保険料を納付する場合はその当時の保険料に加えて利子相当分も含めて納付します。

 追納する場合はその年度から猶予制度を利用した2年度以内に納付する方が良いでしょう。

 保険料を追納すると将来受け取る年金額が増え、追納した年の社会保険料の控除の対象にもなります。

定時退社と「持ち帰り残業」

◆持ち帰り仕事と労働時間

 最近の働き方改革の流れの中で、残業時間削減の為、定時退社を促される場合もあるでしょう。

 その様な時に仕事が終わらず自宅に持ち帰った場合の労働時間の扱いはどうなるのでしょうか?

 そもそも労働時間とは使用者の指揮命令下にある時間だとされています。

 労働者の行為が使用者の指揮命令下におかれたものと評価する事ができるか否かにより客観的に定まるものとされています。

◆上司の命令はどうか

 残業は上司の直接的な命令だけでなく、具体的に指示されていた仕事が時間内にはできない程度の量である場合や、その日の業務の性質上残業させざるを得ないような状況である場合、使用者の「暗黙の指示」により行った残業とされます。

 就業規則等の規定の社内ルールで上司の承認が無ければ残業を認めないと決めていたとしても、個別かつ具体的に残業を中止させるような明確な指示、命令が必要であり、終業時刻を過ぎたら強制的に退社させる等も必要でしょう。

◆持ち帰り仕事は残業になるか

 会社側が一定の時刻に強制退社させるとなると、労働者はその日に処理するべき仕事ができなくなった場合、やむを得ず帰宅後に持ち帰り残業をするかもしれません。

 これについて労働時間となるのかどうかという問題があります。

 使用者の指揮命令下にあるかと言うと難しい判断です。

 上司から自宅に持ち帰ってでも仕事を終わらせるよう指示された時や、暗黙でもノルマをこなすよう指示されていた場合は自宅でも労働時間とみなされる可能性はあります。

 しかし重要な書類や秘密データ等を社外に持ち出す事にもなります。

 上司が容認、黙認する事は情報漏えいリスクも伴うので認める事がどの位あるのでしょうか。

 労働者が自分で自主的に持ち帰りした時は労働時間ではないとみなされます。

 長時間労働を抑えると言って強制退社させるなら、このような事態を招かないように、持ち帰り仕事を禁止する場合は仕事量も考えた上でのルール化が必要でしょう。

確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。



2018年4月29日日曜日

【時事解説】粉飾はブレーキを持たない その2

 第2期になり、損益は次のように好転しました。

(3)第2期の正しい損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫300、当期仕入900、期末在庫300) 損益:100

 第2期の実態は(3)の通りなのですが、帳簿上はこうはなっていません。

 それは、(2)で期末在庫の粉飾を行っていて、(3)の期首在庫は500で計算するからです。

 第2期で粉飾を行わないと、第2期の売上原価は1,100(500+900-300)ですから、第2期の損益は100の赤字になってしまいます。

 第2期の正しい損益100を維持するためには、(4)のように、やはり期末在庫を500として、在庫の過大計上を続けざるを得ません。

(4)第2期の粉飾した損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫500) 損益:100

 上記の設例では、第2期は損益が好転しているので、在庫の粉飾額は前期と同額で済みましたが、粉飾をするような会社はそう簡単に収益は好転せず、赤字額が拡大していくのが普通です。

 粉飾決算は損失の先送りに過ぎませんから、黒字を仮装するためには粉飾の金額は雪だるま式に膨らんでいきます。

 粉飾決算を途中で是正することは容易ではないのです。

 粉飾決算はブレーキを持たない車のようなものです。

 車なら買わなければいいのですが、残念なことに粉飾という車は常に背後霊のように会社に存在しています。

 経営者は粉飾という車が走り出さないように、自らを厳しく律すると同時に監視を怠ってはいけません。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

【時事解説】粉飾はブレーキを持たない その1

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 東芝の例に見られるように粉飾決算は後を絶ちません。

 ただ、誰でも粉飾決算をやりたくて、しているわけではありません。

 粉飾決算は犯罪ですから、やむを得ず始めたとしても、できるだけ早く切り上げたいと思っているはずです。

 しかし、粉飾は一度始めると、なかなか止めることはできません。

 粉飾決算には色々なパターンがありますが、最もよくあるのは在庫操作です。

 その典型である在庫操作を例にとり、粉飾を止めるのがいかに難しいのか考えてみましょう。

 ある会社の第1期が次のような決算状況だったとします。

(1)第1期の正しい損益
売上:1,000 売上原価:1,100(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫300) 損益:△100

売上は1,000で、売上原価は1,100ですから、損益は100の赤字です。

赤字は困るので、(2)のように粉飾することにしました。

(2)第1期の粉飾した損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫500) 損益:100

 本当の期末在庫は300ですが、500に水増しして、売上原価を900にすると、利益は100になります。

 ただ、この操作は一時的に利益を出すための粉飾ですから、利益状況が好転すれば、適正な期末在庫に戻したいと考えています。

 そこで、第2期に損益が思惑通り好転すれば、粉飾から脱却できるでしょうか。
(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。


2018年4月28日土曜日

司法取引制度が6月スタート

 政府は3月中旬、日本版「司法取引」制度の開始時期を今年6月1日とする政令を閣議決定しました。

 また司法取引の対象となる犯罪に、脱税に関する罪が新たに加えられました。

 日本版司法取引は、第三者の犯罪への関与を供述する見返りに、自分の罪が軽くなるというもの。

 犯罪捜査の強力な一手となることが期待されますが、一方でえん罪のリスクをはらむことにもなります。

 司法取引とは、自身や他者の犯した罪について認めたり詳細を供述したりすることを条件として、罪を軽くする仕組み。

 米国では、自身の罪を認める代わりに罪を軽くするタイプの取り引きも導入されていますが、こちらは日本版では取り入れず、あくまで他者の犯罪についての情報提供を材料とする取り引きのみにとどめます。

 容疑者や被告が共犯者らの犯罪について供述すれば、検察官が起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりするというものです。

 閣議決定された政令では、これまで取り引きの対象に想定していた刑法の贈収賄、組織犯罪処罰法で定める組織的犯罪に加えて、新たに経済関係の罪が加えられました。

 そのなかには「租税に関する法律の罪」として、脱税が含まれています。

 今後は会社ぐるみの脱税事件などで逮捕された経理担当者が「脱税は社長の指示だった」と供述し、社長が起訴される一方で本人は起訴を免れるといったケースも起こり得そうです。

 司法取引の導入で懸念されるのが、虚偽供述などによるえん罪の増加です。

 この点について、日本版制度では取り引きの合意に至るまでの協議では必ず弁護士が立ち会い、弁護士の合意も必要となります。

 取り引きが成立すれば書面が作成され、情報を提供された当事者の裁判では、当事者と裁判官に書面が開示されるそうです。

 もっともこれでえん罪の懸念を完璧に払しょくできるわけではなく、実際の運用には慎重さが求められることになりそうです。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

ハズレ馬券を経費にする3条件

 国税庁は3月上旬、競馬のハズレ馬券の税務上の取り扱いに関する通達の改正案を公表しました。

 昨年12月に最高裁が下した馬券の所得区分に関する判決を受けたもので、原則的に「一時所得」に当たる馬券の払戻金が、どれだけ恒常的かつ網羅的な購入であれば「雑所得」に当たるのかの境界線が読み取れるものとなっています。

 馬券の払戻金が「一時所得」に当たるか「雑所得」に当たるかが問題となっているのは、それぞれで経費として認められる範囲が大きく変わってくるからです。

 一時所得であれば、収入に直接要した金額のみが経費と認められるため、収入に直接結び付いていないハズレ馬券の購入費用は経費に当たりません。

 一方、雑所得では経費の範囲が大きく広がり、「その他業務上の費用の額」にハズレ馬券の購入費用が含まれます。

 国税庁の示した改正案では、自動購入ソフトを利用するか、「予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組み合わせにより定めた購入パターン」に従って、「年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入」し、「回収率が(中略)100%を超えるように馬券を購入し続けてきた」という条件に限って、馬券の払戻金を「雑所得」と認めるとしています。

 具体的なポイントは3つで、
①個々のレースを予想するのではなく一定のパターンに従っていること、
②ほぼ全てのレースで馬券を購入すること、
③年間を通じて確実に利益を上げていること
――となっています。

 最高裁の判決でも、継続性や、個々のレースに着目しない網羅性などが雑所得として認められるための重要項目として挙げられていたことから、それらを踏まえた改正案と言えます。

2018年4月27日金曜日

(後編)国税庁:2016事務年度の無申告法人に対する調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 取引先法人に対する調査において、本店登記が遠隔地(乙署管内)であるA社に対する支払いを把握したため、実態を確認したところ、無申告のため調査が行われました。

 その結果、A社は、事業活動を隠ぺいするため、事業の実態のない遠隔地に本店登記を置いたままであること及び外注費の支払等を全て現金で行い、原始記録を破棄して帳簿書類も作成せず、税務申告を不正に逃れていました。

 A社に対しては、7年間の法人税の申告漏れ所得金額1億5,400万円について追徴税額4,800万円(重加算税含む:以下同じ)及び5年間の消費税について追徴税額2,000万円がそれぞれ課税されました。

 一方、申告はしているものの赤字としていた無所得申告法人3万3,400件を実地調査した結果、そのうち2万4,000件から2,534億円の申告漏れ所得金額を把握され222億円を追徴課税しました。

 また、8,000件が不正を働いており、不正所得金額は1,102億円となるとともに、そのうち5,000件は実は黒字法人で、実地調査件数全体の13.4%が黒字法人であったことが明らかになりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年3月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。