それによりますと、前事務年度比24.6%増の5,219件の富裕層に対する実地調査が実施し、同51.9%増の申告漏れ所得金額670億円を把握しました。
調査件数の約82%にあたる4,269件(前年対比25.3%増)から何らかの非違をみつけ、加算税を含め177億円(同39.4%増)を追徴し、1件あたりの申告漏れ所得金額は1,283万円(同21.7%増)、追徴税額339万円(同11.5%増)となり、追徴税額は所得税全体の実地調査(特別・一般)1件あたり178万円と比べて約1.9倍にのぼりました。
国税当局では富裕層の海外投資等にも注目しており、同期間中に海外投資を行っていた862件(前年対比61.7%増)に対して調査を実施し、約83%にあたる713件(同49.2%増)から269億円(同96.4%増)の申告漏れ所得金額を把握、71億円(同73.2%増)追徴し、1件あたりの申告漏れ所得金額は3,119万円(同21.1%増)にのぼりました。
調査事例をみてみますと、国内外の仮想通貨取引に係る事案があり、調査対象者Aは、仮想通貨の取引による利益について自主的に修正申告書を提出しましたが、部内資料等から修正申告書の内容を大きく上回る利益を得ていることが想定され、調査の結果、Aは多数の仮想通貨取引所に本人及び妻名義の取引口座を開設し、自身で開発した仮想通貨の自動売買プログラムを使用して多額の利益を得ていた事実が把握されました。
Aは、インターネット情報で、仮想通貨取引の利益は申告する必要があることを知り、本人名義のうち、一部の仮想通貨取引の利益は修正申告しましたが、妻名義などで行った仮想通貨取引による利益は修正申告書に含めていなかったことを認めました。
その結果、Aに対して、所得税1年分の申告漏れ所得金額約5,000万円について、追徴税額(重加算税を含む)約2,400万円が課されました。
国税庁では、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約に基づく自動情報交換資料などの情報を活用して、海外取引・海外資産関連収入の的確な把握及び積極的な調査に取り組んでいます。
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