会計検査院が官公庁の不適切・不合理な会計処理に対して改善要求をしたことで、平成25年10月~26年9月の1年間に4102億円の改善効果があったとする試算が公表されました。
会計検査院による今回の試算(26年試算)は、平成20年~25年の決算検査報告で指摘した不適切・不合理な会計処理のうち、26検査年次(平成25年10月~26年9月)に財政・財務面でプラスの便益をもたらした金額を算出したもの。26年試算の改善効果4102億円は、25年試算の3467億円と比べると増加していますが、過去最大だった24年試算の1兆8068億円の5分の1以下となりました。
26年試算で最も改善額が高額だったのは、東日本大震災復旧・復興予備費を財源とした農畜産業振興対策交付金に関する是正です。補助金は、東京電力の福島第一原子力発電所事故で汚染された稲わらが原因で牛肉から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されたことを踏まえ、肉用牛肥育農家の経営環境を整えるために国が「独立行政法人農畜産業振興機構」に交付したもの。機構はその一部を畜産関係団体に付与したものの、約600億円もの未使用額がありました。また、畜産関係団体は東電から賠償金を受領した後に機構に補助金を返還することになっていて、実際に機構は多額の返金を受け取っていましたが、返還額を国庫に戻していませんでした。機構は検査院に指摘を受けて重い腰を上げ、26年7月までに合計で798億円を国庫に返還しました。こうした不適切な対応が明らかになると、補助を必要とする被災者に適切にお金が行き渡ったかどうかも疑いの目で見てしまうところです。
これを含めて10億円以上の是正改善効果があったのは1年間で25件。このうち、100億円以上は8件でした。言い方を変えれば、それだけ税金の無駄遣いがあったということ。そして、検査院からたびたび指摘されているにもかかわらず、不適切・不合理な会計処理は毎年発覚しています。検査院の是正改善効果は年間で数千億円、多い年で1兆円を超えます。検査院が指摘できているのはごく一部の無駄遣いにすぎません。
0 件のコメント:
コメントを投稿