税制審議会は、2015年度諮問事項「中小企業の範囲と税制のあり方について」に対する検討結果を取りまとめした。
それによりますと、中小法人の範囲のあり方について、現行制度の適用上の問題点として、
①資本金1億円以下の法人に一律・同一の制度が適用されているため、必ずしも担税力が弱いとはいえない中小法人にも特例的な税制を適用
②現行の資本金基準は、中小法人の範囲を定める指標として不適切
③資本金基準のみでの区分のため、大法人が減資を行って中小法人となる事例があり、中小法人税制を利用した恣意的な税負担の軽減が可能と指摘しております。
その上で、「従業員数基準についての課題を検討した上で、さしあたり資本金の額と従業員数を組み合わせた指標により中小法人の範囲を定めることが適当。
ただし、このような指標によっても現行制度の問題点が解決されない場合には、資本金と資本準備金を組み合わせた指標又は法人税法上の資本金等の額を基準とするなど、他の方法を検討する必要がある」との検討結果を示しております。
また、中小法人税制のあり方については、中小法人の規模や経営実態は様々ですが、その多くは財務基盤が脆弱であり、大法人との間には競争力に相当の格差があり、このような現状からみれば、中小法人については大法人と異なる税制上の措置が必要としております。
一方、近年の法人課税に関する税制改正は、大法人のうち利益計上法人の税負担の軽減は実現しつつあるが、所得の少ない法人、とりわけ欠損法人には税負担の増加になる例が多いと指摘しております。
中小法人に対しては、課税ベースや租税特別措置等において、大法人と異なる様々な税制上の措置が講じられておりますが、中小法人の実態からみて、その成長を支援する観点からは、今後とも中小法人税制を存置すべきとの結論を示しております。
その際、事業税の外形標準課税制度については、現行の仕組みからみて担税力のないところに負担が生じるおそれがあることから、中小法人には適用すべきでないことを強調しております。
今後の動向に注目です。
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