取引区分別にみてみますと、「海外投資」(預貯金等の蓄財を含む海外の不動産や証券などに対する投資)が全体の25%を占める689件、「輸出入」(事業での売上や原価に係る取引で、海外の輸出(入)業者との契約による取引)が同18%の488件、「役務提供」(工事請負やプログラム設計など海外において行う、労力・技術等の第三者に対するサービスの提供)が同12%の323件となっております。 そのほか、海外で支払いを受ける給与や贈与(親族に対する海外送金等)など海外取引に係るもので、上記の取引に該当しない「その他」が全体の45%を占める1,217件ありました。
これらの結果、1件あたりの申告漏れ所得が平均で1,698万円見つかりましたが、取引区分別では、「海外投資」で1,889万円、「輸出入」で909万円、「役務提供」で1,510万円、「その他」で1,956万円把握されました。 調査事例として、調査対象者Aは、知人と共同出資して、海外にペーパーカンパニーを設立し、日本における課税を逃れていた事例が挙げられております。
Aは、国内企業の役員を務めていましたが、知人とともに個人的な資産を共同出資し、海外に貿易会社を設立しました。 調査の結果、貿易会社を介する取引についてはAが日本国内で業務を行っているなど、貿易会社は事業実態のないペーパーカンパニーであることが判明し、その取引に係る利益がペーパーカンパニーに留保されている事実を把握したため、留保していた利益について課税されたうえに、ペーパーカンパニーから役員報酬を受け取っていたにもかかわらず、それを申告していない事実も把握されました。 Aに対しては、所得税3年分の申告漏れ所得金額約6,600万円について税額(加算税含む)約2,900万円が追徴されました。
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