2018年12月31日月曜日

世界中で動き出したCRS

◆3つの情報交換
 租税条約による情報交換には、1.要請に基づく情報交換、2.自発的情報交換、及び3.自動的情報交換の3つの形態があります。

 「要請に基づく情報交換」は特別な場合です。「自発的情報交換」はついでに得た情報の提供なので偶然的なものです。

 「自動的情報交換」は法定調書情報の税務当局間の相互送付で、これが期待される基本形です。

◆OECDのCRS

 自動的情報交換については、2017年から、わが国を含む100以上の 国・地域が賛同して、まさに動き出し始めている、OECDのCRS(Common Reporting Standard の略:共通報告基準)があります。

 CRSとは、非居住者の金融口座に関する情報を各国の税務当局間で自動的に交換するための共通化された国際基準のことです。

 共通化された国際基準を各国で適用することにより、事務負担の軽減や効率的な情報交換を実現しつつ、外国の金融機関の口座を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処することを目的としています。

◆日本の国外財産調書の提出状況

 国外財産調書の提出件数は次のように、年々増えていますが、この程度の数字であるわけがない、というのが多くの見方のようです。

 平成25年分…………5.539件
 平成26年分…………8,184件
 平成27年分…………8,893件
 平成28年分…………9,102件

◆CRS初回交換情報

 国税庁は、CRS情報の交換を本年9月までに行うことにしていた、その初回交換の件数等がとりまとめられ公表されました。

 日本国内の非居住者の金融口座情報については、58か国・地域に89,672件提供し、他方、日本の居住者に係る金融口座情報については、64か国・地域から550,705件受領しました。

 予想外に多かったとのニュアンスが滲み出ています。

 また、公表文は、受領した金融口座情報は、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書、その他既に保有している様々な情報と併せて分析する、としています。

 なお、CRSには、アメリカは非加盟です。

 FATCAがあるためです。

 日本がアメリカから得ている自動的情報交換データは租税条約に依るものです。

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2018年12月30日日曜日

米国宇宙軍発足にみる新たな戦い その2

 米国は宇宙空間での軍事活動を担う「宇宙軍」を2020年までに発足させる方針を明らかにしました。

 宇宙空間の安全保障をめぐり、中国やロシアが優位に立とうとしており、こうした中ロの脅威に対抗するのが狙いです。

 米国以外では、ヨーロッパが宇宙空間の安全保障を課題と設定しています。

 フランスでは、マクロン大統領が2019年に考えをまとめる予定でいます。

 日本は全く関係ないかというと、そうでもありません。

 2018年末、防衛政策の指針となる「防衛計画の大綱」を5年ぶりに見直す予定でいます。

 その時に、中期防衛力整備計画を策定します。

 今回のキーワードは、「クロス・ドメイン(領域)」です。

 今までの陸・海・空のほか、新たなドメインにおける脅威に対応できる防衛体制づくりに取り組むことが掲げられます。

 そして、ドメインの一つが宇宙であり、宇宙空間での安全保障に取り組む姿勢が明らかになります。

 具体的な取り組みのひとつを挙げると、大気圏外から宇宙空間を監視する人工衛星の打ち上げがあります。

 これまで防衛省は衛星を自衛隊内の部隊間での遠距離通信や地上の警戒監視などに利用していました。

 大気圏外の監視は行っておらず、米国の情報に頼っていました。が、新たな衛星の打ち上げにより自国で行えるようになります。

 加え、従来のような、地上からの監視は天候不順の場合、能力が低下するという弱点がありましたが、衛星の打ち上げで解決に向かいます。

 大気圏外の人口衛星はまだ検討段階ですが、実現すれば、地上と大気圏外の双方から監視できるようになり、宇宙空間の安全保障に繋がります。

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2018年12月29日土曜日

米国宇宙軍発足にみる新たな戦い その1

 先日、米国は宇宙空間において軍事活動を担う「宇宙軍」を2020年までに発足させる方針を明らかにしました。

 すでに、宇宙空間は新たな戦場になりつつあります。

 現在、米国では陸軍、空軍、海軍、海兵隊、沿岸警備隊の5つの軍があります。

 宇宙軍ができればこれらに次ぐ、6つ目の軍が誕生することになります。

 宇宙軍というと、SF映画の世界では、地球外生命体の侵略に対して、人類が戦うというストーリーが一般的です。

 が、米国が脅威としている相手は中国とロシアで、両国を宇宙における戦略的な競争相手と位置付けています。

 なぜ宇宙軍が必要なのでしょうか。

 そんなに、中ロの脅威は大きなものなのでしょうか。

 一般的に、宇宙開発は気象衛星などの平和利用が主です。

 が、技術を転用することで、偵察衛星など、軍事利用ができます。

 中でも、米国が恐れるのは、中国やロシアが人工衛星を破壊する兵器の開発を進めている点にあります。

 ミサイルの開発が成功すれば、偵察衛星など、敵国の軍事衛星を破壊するといったことも可能になります。

 また、ロシアの人工衛星が不審な動きをするという警戒もあります。

 具体的には、フランスとイタリアが共同運用する軍事衛星に異常に近づき、通信を傍受しようとしたことがあります。

 ただ、宇宙軍の実現には、議会が法案を成立させる必要があります。

 そして、新たな組織を設立するには多額の費用が必要になり、予算の肥大化になります。

 こうした現状に対して、議会には反対意見が多いのも事実です。

 宇宙空間の安全保障をめぐり、各国が優位に立とうとしていますが、この先、どこの国が覇権を握るか目が離せない状態にあります。(つづく)

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2018年12月28日金曜日

中小企業におけるインバウンド需要の取り込み

 近年、訪日外国人旅行者数は、急速な拡大を遂げています。

 インバウンド市場は人口が減少している日本では数少ない成長市場であり、中小企業にとってもビジネスチャンスとなります。

 「平成30年版情報通信白書」によると、 訪日外国人旅行者の増加に伴い旅行者の国内における受入環境の整備が急務となっていることが指摘されています。

 観光庁「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」によると、訪日外国人旅行者が旅行中に困ったこととしては「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」が最も割合が高く、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」、「無料公衆無線LAN環境」の順となっています。

 こうした中、総務省では観光庁と連携し、地方自治体、民間事業者で構成する「無料公衆無線LAN整備促進協議会」を2014年に立ち上げ、無料Wi-Fi整備の促進、周知・広報等に取り組んでいます。

 その一方で訪日外国人による日本滞在中のコミュニケーションやそのための多言語対応が引き続き課題となっています。

 また、支払等の決済面での受入環境の整備も重要です。

 例えば、訪日外国人旅行者の多くを占める中国人観光客は、支払い手段としてスマホでの決済を利用する傾向が強くなっています。

 このような背景から、2016年3月に策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」では、主要な商業施設や宿泊施設、観光スポットにおける「100%のクレジットカード決済対応」及び「100%の決済端末のIC対応」などを目標として掲げています。

 このように、中小企業においても外国人旅行者の受入体制を整備することで継続的なインバウンド需要を取り込むことがカギとなるのです。

 では、インバウンド需要の取り込みに成功している中小企業にはどのような特徴がみられるのでしょうか。

 そこで日本政策金融公庫総合研究所が同公庫の融資先の中小企業を対象に2017年8月に実施(公表は2018年1月)した「インバウンドの受け入れに関するアンケート」に基づき、それらの企業の特徴についてみていきましょう。

 まず、顧客のなかに外国人観光客がいる企業の割合は、回答企業全体の47.0%を占めています。

 1カ月当たりの外国人観光客数をみると「19人以下」の企業が68.0%を占める一方で、「50~99人」が7.4%、「100人以上」が10.3%あることが示されています。

 このアンケート調査では1か月あたりの外国人観光客数が「50人以上」の企業の特徴を、「1~49人」や「0人」の企業と比較して考察しています。

 まず「50人以上」の企業では、最近3年間の売上高と採算状況がそれぞれ増加傾向、黒字とする企業が半数を占めており、外国人観光客を多く受け入れることで業績を伸ばしている企業が少なくないことがわかります。

 また、「50人以上」の企業は、独自にウェブサイトを運営したり外部のサイトを利用したりして情報発信を行ったりするなど、インターネットの活用に積極的な傾向がみられます。

 さらに「50人以上」の企業は、クレジットカードやICカード、スマートフォン・携帯電話を使った決済に対応している企業が多く、インバウンドを多く受け入れるにはキャッシュレス決済に対応することが望ましいことが指摘されています。

 このようにインバウンド需要の取り込みに成功している中小企業では、情報発信面や決済面で情報通信技術(ICT)を積極的に活用し、受入環境の整備を進めているという特徴がみられるのです。

2018年12月27日木曜日

法定調書の光ディスク等による提出義務基準を引下げ!

 2018年度税制改正において、法定調書の光ディスク等による提出義務基準の引下げが盛り込まれております。

 2011年度税制改正により、上記の提出義務が導入され、法定調書の種類別に、前々年に提出すべきだった法定調書の枚数が1,000枚以上であるものについては、2014年1月1日以降からは書面ではなく、光ディスク等又はe-Taxによる提出が義務化されましたが、2021年1月1日以降からは、この提出義務基準が100枚以上に引き下げられますので、該当されます方はご注意ください。
 
 給与所得の源泉徴収票など法定調書のうち57種類は、あらかじめ税務署長に申請して承認を受けている場合には、書面による提出に代えて、インターネットを利用したe-Taxやパソコン等で作成した法定調書を記録した光ディスク等(コンパクトディスク(CD)・デジタルバーサタイルディスク(DVD)・フロッピーディスク(FD)・光磁気ディスク(MO))により提出することができます。

 前々年が基準日となりますので、2019年における法定調書の種類ごとの提出枚数が100枚以上であれば、2021年は光ディスク等で提出する必要があります。

 しかし、提出すべき給与所得の源泉徴収票が90枚の場合でも、光ディスク等による提出義務はありませんが、あえて光ディスク等による法定調書等の提出をすることで、大量の調書を1枚の光ディスク等で提出することができ、事務の省略化につながるほか、支店や工場等の提出分も含め、本店等の所轄税務署長に一括提出できるなどのメリットがあります。

 なお、光ディスク等により提出する場合には、「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書(兼)支払調書等の本店等一括提出に係る承認申請書」を、法定調書を提出しようとする日の2ヵ月前までに提出義務者の所轄の税務署へ提出する必要があります。

 提出された申請書については、その申請書の提出の日から2ヵ月を経過しても承認又は承認しない旨の通知がない場合、その経過する日においてその申請は承認されたものとみなされますので、あわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年12月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月26日水曜日

コンビニ決済可能なQRコード納付手続き

◆税のコンビニ決済は前からあった
 
 平成20年にバーコード付納付書が登場しました。

 このバーコード付納付書は、1枚につき30万円以下の納税額であれば、コンビニで支払いができるものです。

 ただし、確定した税額を期限前に通知する場合(所得税の予定納税等)や、督促・催告を行う場合等の、特殊条件以外の納付の場合は「確定した税額について、納税者から納付書の発行依頼があった場合」とされており、税務署等で申告書を提出する際にその旨を伝えると発行してくれるものでした。

 また国税庁のWebサイトには「混雑状況等により、発行までに相当のお時間がかかる場合があります」という前置きがしてあり、「即時発行では無い」と言いたいようです。

◆平成31年1月4日からQRコードに!

 来年年始から、確定申告書作成コーナー及び国税庁ホームページに、QRコード(PDFファイル)を印字した書面が作成できるコーナーが新たに追加されます。

 このQRコードをコンビニのキオスク端末(LoppiやFamiポート)で読み取らせる事によって、バーコード(納付書)が発行され、税の納付ができる仕組みです。

 QRコードさえ読み込ませればよいので、スマートフォンやタブレット端末にファイルを保存して、端末画面に表示する事によってキオスク端末に読み取らせる事も可能です。

◆あれ? セブン-イレブンは?

 現状利用可能なコンビニとして名前が挙がっているのは「ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ、ファミリーマート」のみです。

 全国に2万店舗ほどある、セブン-イレブンの文字はありません。

 対応しないのでしょうか?

 また、従来のバーコード付納付書同様に、1枚あたりの納付金額は30万円以下でなければならないようです。

 ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、振替納税、そしてコンビニ納付と昨今では納付方法も多彩に選べます。

 ご自身の生活に合った納付方法を選択してみてはいかがでしょうか。

※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

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2018年12月25日火曜日

ゴーン容疑者逮捕に日本版司法取引

 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が自身の報酬を過少申告したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕されましたが、これには国内で2例目となる司法取引制度が適用されました。
 
司法取引とは、刑事事件の容疑者や被告が、自分や他人の犯した犯罪行為についての情報を当局に提供する見返りに自身の処分を軽くしてもらう制度です。

 アメリカ映画でなじみのある人も多いでしょう。日本では今年6月に施行されたばかりの新しい制度です。

 対象となる犯罪の範囲は、贈収賄や詐欺、覚せい剤取締法、組織犯罪処罰法など刑事訴訟法に明記されたもののほか、政令で規定した経済犯罪として、独禁法や特許法、会社法の違反、脱税、そして今回ゴーン容疑者の逮捕理由となった金商法の違反などが対象です。

 アメリカで多く適用されている司法取引ですが、その内容は日本とは異なります。

 アメリカ型は自分の犯罪を認めることで罪の軽減を図るものですが、日本型は他人や共犯者の犯罪が対象になっています。

 そのため日本型では、自身の立場を有利にするために「仲間」を陥れるような虚偽の供述を行い、えん罪を生む危険性も指摘されています。

 また、司法取引が有効に活用されていくことは、組織の内部の膿を出すためには期待されるものの、組織のなかで「誰か」が人身御供となってしまうことで、本質が糺されないようでは本末転倒です。

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2018年12月24日月曜日

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

はじめに
 年末近くになると配偶者が就業時間を調整することによって、居住者本人に配偶者控除が適用される103万円以内にパート収入を抑える傾向があり、人手不足のため営業時間の短縮を行う企業も出るなど社会問題となっていました。
 
 そこで、平成29年度税制改正では、配偶者控除・配偶者特別控除が見直されました。

 改正された控除額は、最低賃金の全国平均時給1,000円、1日6時間、週5日勤務した場合の年収(144万円)を上回る金額となるように、所得控除額38万円の対象となる配偶者の合計所得金額の上限が85万円(給与所得のみの場合、給与収入150万円)を基準とされています。

 本稿では、改正された配偶者控除・配偶者特別控除の概要及びその実務上の留意点について解説することとします。

Ⅰ 配偶者控除(所法83①)

 居住者が控除対象配偶者又は老人控除対象配偶者を有する場合には、その居住者の所得金額の合計額から38万円(配偶者が老人控除対象配偶者の場合には48万円)を限度として、居住者の合計所得金額に応じた金額が控除できます。

Ⅱ 配偶者特別控除(所法83の2①②)

 居住者が生計を一にする配偶者(「青色事業専従者(所法57①)」として給与の支払を受けるもの及び「白色事業専従者(所法57③)」を除くものとし、合計所得金額が123万円以下であるものに限ります。)で控除対象配偶者に該当しないもの(合計所得金額が1,000万円以下であるその居住者の配偶者に限ります。)を有する場合には、その居住者の所得金額の合計額から38万円を限度として、居住者の合計所得金額と配偶者の合計所得金額に応じた金額が控除できます。

 ただし、配偶者特別控除は、居住者の合計所得金額が1,000万円以下である場合及び生計を一にする配偶者がこの控除の適用を受けていない場合に限り適用できます。

Ⅲ 用語の意義

1 控除対象配偶者(所法2①三十三の二)
 同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円以下である居住者の配偶者とされます。

2 同一生計配偶者(所法2①三十三)
 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(「青色事業専従者(所法57①)」として給与の支払を受けるもの及び「白色事業専従者(所法57③)」を除きます。)のうち、合計所得金額が38万円以下である者とされます。

3 合計所得金額(所法2①三十ロ等)
 次の①から⑦までに掲げる金額の合計額とされます。

① 純損失又は雑損失の繰越控除、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除を適用しないで計算した総所得金額

② 上場株式等に係る配当所得等について、申告分離課税の適用を受けることとした場合のその配当所得等の金額(上場株式に係る譲渡損失の損益通算の適用がある場合には、その適用後の金額及び上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適用がある場合には、その適用前の金額)

③ 土地・建物等の譲渡所得の金額(長期譲渡所得の金額(特別控除前)と短期譲渡所得の金額(特別控除前))

④ 一般株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る譲渡所得等の金額(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除又は特定中小会社が発行した株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適用がある場合には、その適用前の金額)

⑤ 先物取引に係る雑所得等の金額(先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用がある場合には、その適用前の金額)

⑥ 退職所得金額

⑦ 山林所得金額

Ⅳ 適用関係(平成29年度改正法附則6)
 上記Ⅰ及びⅡの改正は、平成30年分以後の所得税から適用されます。

おわりに

 平成30年分以後の年末調整から配偶者控除又は配偶者特別控除は、居住者から提出された「給与所得者の配偶者控除等申告書」に基づいて行うこととされます。

 年末調整後、その年の12月31日までの間に配偶者の合計所得金額に異動が生じた場合には、翌年1月の「給与所得者の源泉徴収票」を交付する時までに年末調整の再調整を行うことができます。

 また、年末調整の再調整によらず従業員が確定申告によって対応することも可能となります。

 特に有価証券を保有している配偶者においては、①上場株式等の配当等で申告不要を選択したもの、②非上場株式等の配当等で年10万円未満のものは配偶者の合計所得金額の算定上カウントしませんので留意して下さい。

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2018年12月23日日曜日

消費増税分のポイント還元、コンビニFCも

 政府は来年10月の消費増税に備え検討を進めるキャッシュレス決済時のポイント還元制度で、コンビニエンスストアでの買い物も対象に含める方針です。

 セブンイレブンやローソン、ファミリーマートなど大手とフランチャイズ(FC)契約を結ぶ個人経営の店舗を、政府支援が必要な「中小企業」とみなして補助金を出します。

 消費者の使い勝手を良くすることで、クレジットカードなどキャッシュレス決済の普及を促したい考えです。

 キャッシュレス決済のポイント還元は、増税後の消費落ち込みに備え、政府が中小小売りなどを対象に検討している制度。

 消費税還元セールの解禁で大手スーパーは自力で一律値上げを回避できますが、経営体力のない地域の小規模な小売店や飲食店などは、増税後の価格維持のために当面の間は公的支援が必要と判断。

 キャッシュレス決済の端末費用を補助して導入を進め、決済金額の2%分のポイントを国の負担で消費者に還元する考えです。

 ただ、地域の小規模店だけでは、消費者にとって使い勝手が悪くカードなどキャッシュレス決済の手段が普及しない可能性があります。

 そこで、政府は多くの消費者が日常的に使用するコンビニも対象に含める方向で調整。

 コンビニでは既にキャッシュレス決済の端末が普及しており、「新制度を円滑に始められる」(経産省幹部)との判断も働きました。

 課題は「大企業」とみなされる直営店の扱い。

 政府は法律上中小企業とみなせるFCに限り、直営店については本社の負担で同様のポイント還元制度をするよう要請。

 ただ、大手3社はともかく地方展開する中規模なコンビニでは経営負担が重く、調整が難航する可能性もあります。

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2018年12月22日土曜日

住宅エコポイント復活へ

 省エネ性能の高い住宅を新築・リフォームした際にポイントが付与される「住宅エコポイント制度」が、消費増税を機に4年ぶりに復活する見通しです。

 増税に伴う駆け込み需要の反動減を抑えるため、国土交通省が制度の導入に向けて検討に入りました。

 住宅エコポイント制度とは、環境に配慮した住宅の新築やリフォームを行った人に対し、商品やサービスと交換できるポイントを付与する制度。

 これまで2010年、12年、15年に期間限定で実施されたことがあり、今回で3度目の復活となります。

 制度の対象となる工事や付与ポイントは実施時期ごとに異なります。

 15年には一定の省エネ基準を満たした住宅の新築に1戸あたり30万ポイント、窓や外壁の断熱化といったリフォームに1戸あたり最大30万ポイント、耐震改修でさらに15万ポイント上積みして最大45万ポイント付与する制度でした(1ポイント=1円相当)。

 発行されたポイントは、省エネ商品や地域振興券に交換できたほか、ポイントの対象となった工事の施工者が追加的に実施する工事の費用に充てることもできました。

 新制度の対象工事やポイント数については国交省と財務省が協議して決めます。

 個人がエコポイントを商品交換や追加工事費用に充てた場合、その金額は基本的に生命保険の一時金や競馬の払戻金と同じ「一時所得」として所得税の課税対象となります。

 一時所得には50万円までの特別控除枠があり、他の一時所得と合わせて50万円を超えると課税されます。

 なお、そのポイントが業務のために使う住宅の新築・リフォームに伴って付与されたのであれば、事業所得または不動産所得として計上することになります。

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2018年12月21日金曜日

QRコードを利用したコンビニ納付②

≪利用方法≫

① 自宅等で作成・出力した「QRコード」(PDFファイル)をコンビニ店舗に持参

② いわゆるキオスク端末(「Loppi」や「Famiポート」)に読み取らせることによりバーコード(納付書)が出力

③ バーコード(納付書)によりレジで納付

≪利用可能コンビニ≫

 ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ(いずれも「Loppi」端末設置店舗のみ)ファミリーマート(「Famiポート」端末設置店舗のみ)等

Ⅱ 適用関係(平成30年度改正国通規附則③)
 上記Ⅰの改正は、平成31年1月4日以後に納付の委託を行う国税について適用され、同日前に委託を行う国税については、なお従前のとおりとされます。

 QRコードを利用したコンビニ納付による納税可能な税金は、あくまでも30万円以下の国税とされます。

 「開いてて良かった」のキャッチフレーズで全国各地で店舗展開をしているコンビニ納付の利用手段の拡充は、納税者にとっては便利でしょう。

 しかし、早朝・深夜の時間帯などのセキュリティ面から考えるとコンビニの経営者にとっては頭の痛い問題でしょうね。

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2018年12月20日木曜日

QRコードを利用したコンビニ納付①

 国税を納付しようとする者は、納付金額が30万円以下で税務署が作成(郵送)したバーコード付納付書に基づき納付しようとする場合には、国税庁長官が指定する納付受託者(コンビニエンスストア)に納付を委託(以下単に「コンビニ納付」といいます。)することができることとされています(国通法34の3①)。

 ただし、現行の国税のコンビニ納付については、自宅及び税務署以外の会場等で電子申告を行う場合には、改めて税務署からバーコード付納付書を取り寄せてコンビニ納付を行う必要がありました。

 そこで、平成30年度税制改正では、納税者の利便性の向上を図る観点から、コンビニ納付の利用手段が拡充され、二次元コード(いわゆるQRコード)を利用したコンビニ納付が可能となりました。

Ⅰ 改正の内容(国通規2②二)

 コンビニ納付を利用できる納付書の範囲に、コンビニにより作成された納付書が追加されます。具体的には、コンビニ納付を行おうとする納税者が、自宅等において国税庁ホームページを利用して納付に必要な情報をQRコード化し、コンビニの端末機で読み取り納付書を出力することによって、コンビニ納付ができることとされます。

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2018年12月19日水曜日

(後編)2018年度税制改正:国際観光旅客税を創設!

 国外運送事業者の特別徴収や国際観光旅客等の納付の場合は、原則として出国する空港や港において乗船等するときまでに国に納付する必要があります。

 国際観光旅客税の税収は、初年度60億円、平年度430億円の税収を見込み、その使途について観光立国推進閣僚会議は、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、わが国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度の向上の3分野に充当することを基本方針として示しております。

 具体的な施策・事業について、初年度総額60億円を見込む歳入では、最新技術を活用した顔認証ゲートや税関検査場電子化ゲートの整備等によるCIQ(訪日外国人旅客の出入国手続きの総称)体制の整備に20億円、ICT等を活用した多言語対応等に11億円、JNTO(日本政府観光局)サイト等を活用したデジタルマーケティングに13億円などをそれぞれ充てることを明らかにしております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月18日火曜日

(前編)2018年度税制改正:国際観光旅客税を創設!

 2018年度税制改正において、観光立国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図る観点から、観光促進のための税として2019年1月7日以後の出国から国際観光旅客税を徴収します。

 政府は、2020年訪日外国人旅行客者数4,000万人、2030年6,000万人の目標を掲げ、観光をわが国の基幹産業へと成長させて、観光先進国の実現を図ります。

 国際観光旅客税は、訪日外国人旅行客が出国する際や日本人が旅行や出張で出国する際などに、1人あたり出国1回につき1,000円を徴収します。

 ただし、課税の対象外として、航空機や船舶の乗員のほか、航空機により入国後24時間以内に出国する乗継旅客、2歳未満、悪天候などの理由で寄港した国際船舶等に乗船等していた者やわが国への派遣外交官等の一定の出国などが挙げられております。

 航空機を利用する場合は、チケット料金に上乗せして徴収することから、国内の旅行代理店等の国際運送事業者が国際観光旅客等から特別徴収し、翌々月末日までに国に納付します。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月17日月曜日

(後編)消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について

 どのような価格設定を行うかは事業者の任意ですが、例えば、テイクアウト等(軽減税率)及び店内飲食(標準税率)で異なる税込価格を設定する場合における価格表示方法としては、テイクアウト等及び店内飲食の両方の税込価格を表示する方法やテイクアウト等又は店内飲食のどちらか片方のみの税込価格を表示する方法などが考えられます。

 テイクアウト等のみの税込価格を表示する場合には、店内飲食のほうがテイクアウト等よりも税込価格が高いのに、テイクアウト等であることを明瞭に表示せず、税込価格のみを表示している場合には、一般消費者に店内飲食の価格が実際の価格よりも安いとの誤認を与えてしまい、不当景品類及び不当表示防止法の規定により禁止される表示に該当するおそれがあります。

 また、テイクアウト等と店内飲食との間で税込価格が異なる場合は、事業者は、顧客の意思表示により異なる税率が適用され、税込価格が別途計算されることがあり得る旨、店舗内の目立つ場所に掲示するなどの手段により、一般消費者に対して注意喚起を行うことが望ましいとしております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2018年12月16日日曜日

(前編)消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について

 2019年10月1日から実施予定の消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について、消費者庁・財務省・経済産業省・中小企業庁の4省庁は連名で、一般消費者の適正な商品又は役務の選択を確保することを目的として、同一の飲食料品の販売について適用される消費税率が異なる場面における小売店等の価格表示の具体例等の取りまとめを行い、公表しました。

 それによりますと、消費税の軽減税率制度では軽減税率の適用対象品目を「酒類及び外食を除く飲食料品」としているので、テイクアウト(飲食料品を持帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う飲食料品の譲渡)や出前(単に相手方が指定した場所まで飲食料品を届ける行為)には軽減税率が適用されることとなる一方、店内飲食(飲食設備のある場所において、飲食料品を飲食させる役務の提供)には標準税率が適用されます。

 このため、テイクアウト等及び店内飲食のいずれの方法でも飲食料品を提供する飲食店等の事業を営む外食事業者やイートインスペースのある小売店等の事業者では、同一の飲食料品の販売で適用される消費税率が異なる場面が想定されます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月15日土曜日

法令適用事前確認手続の活用

◆サービスの多様化と許認可

 許可や認可、免許など、日本には数多くの「許認可」が存在し、その数なんと2万種類とも言われます。

 建設業を営む場合には、都道府県知事又は国土交通大臣からの「建設業許可」を、お酒の販売を行う場合には、税務署長からの「酒類販売免許」など、新たな事業を始めるにあたり、こうした許認可を必要とすることも少なくありません。

 一方で、サービスの多様化や差別化が進むにつれ、そもそも許認可を必要とするのか否か、企業だけでは判断が難しいケースも増えているのではないでしょうか。

 そんなときに活用できるのが、「法令適用事前確認手続」です。

◆法令適用事前確認手続とは

 「法令適用事前確認手続」とは、民間企業等が、これから行おうとしている行為について、法令に抵触しないか、規定の適用対象となるかどうか、あらかじめその法令を所管する行政機関に対して照会し、行政機関が見解を述べるとともに、その回答内容を公表するというもので、「日本版ノーアクションレター」とも呼ばれます。

 たとえば、新しいサービスを考えたものの、そのサービスは建設業許可がないと提供できないのか、法令の文言からだけでは判断できなかったとします。

 この際、建設業法を所管する国土交通省に対し、この法令適用事前確認手続を取ると、照会から原則30日以内に書面等による回答が得られるという仕組みです。

◆ホームページ上で回答の公表も

 この制度では、行政機関がその照会者に対して回答するとともに、各行政機関のホームページ上にも公表されています。

 回答は個別具体的な事例に対するものですので、たとえ自社で考えているサービス内容と類似した他社の照会内容があったとしても同一視することはできませんが、各行政機関の基本的な見解を知るのに役立つかもしれません。

 今回は国土交通省を例に挙げましたが、法令適用事前確認手続は多くの行政機関で導入されていますので、様々な業種で利用が考えられます。

 新しいサービスを始めるにあたり、法令に抵触しないかどうか懸念されるときは、この手続きを活用してみてはいかがでしょうか。

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2018年12月14日金曜日

不足している40代社員とは

◆採用数の少なかった時代の影響が

 昨年、ある大手企業の幹部が「40代前半の社員が少ない」とコメントした事が話題になっていたそうですが、40代前半層とは就職氷河期世代に該当します。

 採用が極端に少ない時期で2018年の大卒求人倍率が1.78倍なのに対し、氷河期の底であった2000年は0.99倍(リクルートワークス調べ)だったそうです。

 その影響が今も引き続いているという事です。

◆企業が求める40代とは

 氷河期世代は採用人数が少ないため、出世もし易いと思うかもしれませんが企業の求める40代は例えば20代で経験を積み、リーダー職や係長職を経て30代後半では課長、40代で部長等上級ポストを担える人材で、氷河期世代の40代は採用の対象となりにくいと言われています。

◆賃金面から見る40代

 政府が主要産業に雇用される労働者について賃金を調査する「賃金構造基本統計調査」は、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別に実態を明らかにする事を目的としていて、毎年6月の状況を調査しています。

 それによれば、2018年6月に公表された賃金動向は2010年から12年、2015年から17年の比較では全年齢平均は31.0万円から31.9万円と増加していますが、40歳から44歳及び45歳から49歳の年長者では5年前の水準に比べて減少しています。

 また、常用労働者数100人以上の部長、課長級の役職比率をみると5年前より昇進が遅くなっているのですが、部長級、課長級の人数は比率が低下している中でもむしろ増加しています。

 役職者数の増加は45歳以上の課長級が中心であることから、上級ポストが空かないための待ちの期間が多く発生しており、生涯平社員で終わる社員の増加の可能性もあります。

◆労働人口を支える40代社員への対応

 バブル期の入社世代に当たる40代後半から団塊ジュニアに当たる40代半ばにかけては人数も多い層です。

 企業が求める40代にはなっていない層やポスト待ちの層等がモチベーションを持ち続けて活躍してもらうにはフォローやメンテナンスが課題となるでしょう。

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2018年12月13日木曜日

黒字企業割合が7年連続で増加

 2017年度に税務申告した全国の法人のうち、黒字と申告した法人の割合は34.2%で、前年度(33.2%)より1.0ポイント増となり、7年連続で上昇しました。

 国税庁が10月中旬に発表した法人税の申告事績で分かったものです。

 また申告法人289万6千社の所得金額は前年度比11.5%増えて70兆7677億円となり、過去最高を記録しました。

 黒字法人の割合は、08~10年度に3年連続で過去最低を更新し、黒字申告は「4社に1社」でしたが、その後盛り返し、増加の一途をたどっています。現在では「3社に1社」が黒字の状況です。

 また申告所得金額もリーマンショックのあった08年を境に一気に落ち込んだのですが、14年度にリーマンショック前の水準を超え、その後も増加を維持しています。

 源泉所得税について見てみると、29年度の源泉所得税の税額は18兆1517億円で、前年度から6.0%減り、7年ぶりに減少した昨年から再びプラスに転じました。

 給与所得は3.4%伸びたほか、昨年15.3%落ち込んだ配当所得が8%伸びたことなどが響きました。

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2018年12月12日水曜日

低税率の地域はスポーツが強くなる?

 ホームタウンの税率が低いほどチームは強くなる――。

 そんな興味深い内容の論文を、NFL(米アメフトリーグ)の日本公式サイトが紹介しています。

 同サイトに記事を執筆したジャーナリストの渡辺史敏氏によれば、論文を発表したのはウィーン経済産業大学。

 1994年から2016年までの23年間のNFL所属チームの成績と所在地の個人所得税の税率を調べたところ、最も税率の高いカリフォルニア州のチームは同税のないフロリダ、テキサス、テネシー、ワシントンのチームより年平均2.75勝少なかったそうです。

 また16年にプレーオフに進出したチームとできなかったチームの税率を比べたところ、前者より後者のほうが3割税率が高かったとのことです。

 本来であれば全米のなかでも平均所得の高いカリフォルニアはそれだけ高額な年俸を支払って有力選手を集められるはずですが、NFLでは戦力均衡化のために厳しいサラリーキャップ(年俸上限)が定められていて、有名選手らの年俸は横並びとなる傾向にあります。

 一方で米国では州ごとに個人所得税などの税率が大きく異なるため、同じ年俸を受け取っても実際の手取りには差が出てしまいます。

 多くの手取りを得たい有名選手は、自然と税率の低い地域のチームを選ぶ可能性が高くなるわけです。

 論文ではその実例として、税率7.4%のオハイオ州から5.3%のメリーランド州にホームタウンを移転したレイブンズ(旧ブラウンズ)を挙げ、本拠地の移転によって年平均1勝を上積みし、01年にスーパーボウルを制したことを紹介しています。

 こうしたデータによって、税率とチームの成績に因果関係があると証明されたわけではありませんが、給料の多寡が仕事へのモチベーションに直結するのは自然な話でもあります。

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2018年12月11日火曜日

二重ローンを避けるノンリコースローン その2

 リコースローンとノンリコースローンの違いは突き詰めると、融資対象である住宅の値下がりや毀損リスクを誰が負うのかということに帰着します。

 リコースローンは住宅がどんなに値下がりしても、あるいは無くなってしまっても、(資金を)融資した側は借入者に返済を請求できるのですから、物件の値下がりリスクは借入人が負うことになります。

 一方、ノンリコースローンは物件の値下がり、毀損リスクは(資金を)融資した金融機関が負うことになります。

 日本では住宅ローンと言えば、リコースローンだと思われていますが、ノンリコースローンによる住宅ローンの商品設計も可能なはずです。

 貸出側が物件の毀損リスクを負うのですから、金融機関が保険を掛けることになるでしょう。

 その分ローン金利は旧来のリコースローンの場合に比べて高くなると考えられます。

 ただ、地震保険を個人で掛けるのに比べれば、金融機関側でまとめて掛けた方が、安くなるというメリットは生じるかもしれません。

 金利が高くても物件の毀損リスクを負わないノンリコースローンにするか、金利は低いが毀損リスクを引き受けるリコースローンにするかを借入人が選択できれば、借入人の満足度は向上するはずです。

 災害多発国である日本ではノンリコースの住宅ローンには相応のニーズがあると思いますから、少なくとも商品メニューはあっても不思議ではありません。

 金融機関は今、マイナス金利による利ザヤの縮小に加え、貸し出し需要の減少に苦しんでいます。

 しかし、自らの環境を巡る不平を言う前に、顧客のニーズを本当に捉えられているか自省してみるべきではないでしょうか。

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2018年12月10日月曜日

二重ローンを避けるノンリコースローン その1

 地震などの大災害で住宅が毀損すると二重ローンの問題が浮上します。

 二重ローンとは住宅ローンで建てた家が地震で壊れてしまい、そのローンが残っているにもかかわらず新住宅建設のために新たにローンを借りなければならない状態を言います。

 地震にかかる二重ローンを回避するためには、借入者は地震保険を掛ければいいのですが、地震保険は保険料が高く、それほど普及していないのが現状だと思います。

 二重ローンはもっぱら借入者の自己責任か公的補助の問題で片付けられることが多いのですが、(資金を)融資する金融機関の側にも改善すべき点があるように思います。

 当然のことですが、住宅ローンは住宅に住む人に融資します。

 ローンで建てた住宅は担保には入れますが、返済はあくまで資金を借りた人が行います。

 したがって、担保に入れた住宅を売却してローンを返済したとき、その住宅が値下がりして、ローンが残ってしまえば、住宅がなくなってしまっても、借入人はローンを返済し続けなければなりません。

 こうした融資の対象となった物件がなくなっても、借入人がローン返済の義務を負い続けるローンをリコースローン(リコースとは「遡及する」という意味です)と言います。

 日本ではこうした形のローンが一般的であり、ローンとはこういうものだと思われているかもしれませんが、借入者に遡及しないノンリコースローンという融資形態もあります。

 ノンリコースローンは事業融資なら、あるプロジェクト融資を行ったとき、プロジェクトが失敗すれば、融資したことによる損失は借入人ではなく貸出人が引き受けるローンです。

 住宅ローンであれば、住宅がなくなれば、借入人はそれ以上のローンの返済義務を負わないというものです。(つづく)

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2018年12月9日日曜日

(後編)再調査の請求、審査請求、訴訟の概要を公表!

国税庁・国税不服審判所

 また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、申告所得税等(63.1%増の910件)などほとんどの税目が増加したことから、全体では前年度から18.7%増の2,953件となりました。

 処理件数は、「取下げ」247件、「却下」186件、「棄却」1840件、「一部取消」148件、「全部取消」54件の合計2,475件(前年度比26.3%増)で、納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同4.1ポイント減の8.2%と大きく減少しました。

 一方、訴訟となった発生件数は、所得税(32.5%減の54件)や法人税(21.1%減の30件)などが減少したことから、全体では前年度を13.5%下回る199件となりました。

 訴訟の終結件数は、「取下げ等」18件、「却下」17件、「棄却」154件、「国の一部敗訴」10件、「国の全部敗訴」11件の合計210件(前年度比14.3%減)で、国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同5.5ポイント増の10.0%と大きく上昇しました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月8日土曜日

(前編)再調査の請求、審査請求、訴訟の概要を公表!

国税庁・国税不服審判所

 国税庁・国税不服審判所は、再調査の請求、審査請求、訴訟の概要を公表しました。

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度があります。

 概要によりますと、2017年度(2018年3月までの1年間)の再調査の請求・審査請求・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は9.9%となりました。

 再調査の請求の発生件数は、消費税(30.8%増の633件)などの税目が増加したことから、全体では前年度から8.4%増の1,814件となりました。

 処理件数は、「取下げ等」208件、「却下」200件、「棄却」1,105件、「一部取消」173件、「全部取消」40件の合計1,726件(前年度比4.4%減)で、納税者の主張が一部でも認められたのは計213件、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を5.5ポイント上回る12.3%となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月7日金曜日

(後編)経済同友会:財政健全化計画に関する提言を発表!

 そのために2019年10月の消費税率10%への引上げを確実に実施するとともに、ポスト10%の引上げに係る議論を早期に開始することを求めております。

 この提言では、より現実的な成長見通しに基づいて、内閣府試算(2027年度まで)を超える超長期の財政の姿を描くため、2045年度までの長期財政試算を行いました。

 その結果、ベースシナリオ(全要素生産性上昇率が2018年度以降、将来にわたって平均1.1%で推移)では、税率10%引上げ後、年1%ずつ税率を上げると、2024年度にPBが黒字化し、2045年度までPB黒字化を維持するために必要な消費税率は17%となるとしております。

 経済同友会では、「国民の納得感と安心感を得られる改革を実現するためには、超党派で国民的議論を喚起し、検討、政策合意し、たとえ政権交代しようとも確実に財政健全化を達成すべき。そのためには、税と社会保障の一体改革のビジョンと具体策を再構築することが必要。将来世代に大きな負担を残すことなく、痛みを伴う改革に取り組むためには、国民的な合意が不可欠」との考えを示しております。

 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月6日木曜日

(前編)経済同友会:財政健全化計画に関する提言を発表!

 経済同友会は、財政健全化計画に関する提言を発表しました。

 それによりますと、財政の健全化のため、国と地方の基礎的財政収支(PB)黒字化を団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者になる2025年度より前に実現すべきことを強く主張しております。

 また、社会保障関係費の伸びを抑える歳出削減が重要と指摘し、具体的には2019~2021年度の3年間で、社会保障関係費の伸びを1.5兆円以下とし、団塊世代が後期高齢者になり始める2022年度より前に、これまで以上に厳しい歳出抑制に取り組むべきだとしました。

 その際、企業の負担増によって安易に財源を捻出するのではなく、まずは給付費の増加の抑制や適正化を目指すべきことも提案しております。

 そして、今後も増加が予想される社会保障関係費の財源としては、税収が安定的で、国民が広く薄く負担する消費税が望ましいと指摘しております。

 税率の引上げに際しては、毎年1%ずつ自動的に引き上げること等によって、増税前の駆込み需要やそれに伴う反動減を抑制すべきとの考えも示しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月5日水曜日

自筆証書遺言保管制度の新設と遺言書の方式緩和

◆自筆証書遺言保管制度の新設

 平成30年7月6日、法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立し、法務局において自筆証書遺言を保管する制度が新たに設けられることとなりました。

 新たな制度では、予め保管申請しておくと、遺言者が死亡した後に相続人が法務局において、遺言書保管事実証明書及び遺言書情報証明書の交付請求、遺言書原本の閲覧請求をすることができるようになります。

 また、相続人の1人に遺言書情報証明書を交付した場合または遺言書の閲覧をさせた場合には、法務局から他の相続人等に遺言書が保管されている旨が通知されることになります。

◆紛失・改ざんなどのリスク

 自宅で自筆証書遺言を保管した場合、紛失・亡失の可能性がありますし、遺言書の内容によっては相続人による廃棄、隠匿、改ざんの恐れがあります。

 実際、その内容に不満を持った相続人が意図的に廃棄する、内容を書き換えるといったことにより相続手続きや相続税申告に支障が出るケースも見受けられます。

◆相続手続きと相続税申告をスムーズに

 相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。

 ところが、相続財産の把握や財産分割には思いのほか時間がかかるものです。

 自筆証書遺言があった場合でも家庭裁判所で検認という手続きが必要になり、最低でも1か月はかかるのが現状です。

 保管制度を利用すると検認は不要ですし、自筆証書遺言で財産目録と遺言者の意思表示が分かりますので、相続手続きと相続税申告書作成がスムーズにできると期待されます。

 なお、保管制度の施行日は今後政令で定められることになりますが、施行前には法務局に遺言書の保管を申請することはできませんのでご注意ください。

◆遺言書の方式緩和

 現民法では自筆証書遺言は全文を自筆する必要がありますが、民法改正によりパソコンで作成した財産目録、通帳のコピー、登記事項証明書等の自書によらない財産目録を別途添付することが可能となります。

 財産目録には遺言者の署名押印を行うことで偽造を防止します。

 この改正は平成31年1月13日から施行されます。

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2018年12月4日火曜日

パート主婦 今年の年収は?

◆今年の配偶者控除改正の影響は?

 2018年の1月から配偶者控除の仕組みが変わり、年収に対する税額控除ラインが上がりました。

 これまで通り配偶者(普通は妻)の年収が103万円を超えると配偶者特別控除が適用にはなりますが、控除額が減額され始めるのが150万円(所得85万円)超からになりました。

 配偶者の年収が150万円を超えると段階的に控除額が下がり、201万6千円(所得123万円)で0になります。

 また、高額所得者の配偶者(普通は夫)の年収が1120万円(所得900万円)以下ならば控除額は38万円ですが、この額を超えると控除額が下がり年収1220万円(所得1千万円)超で控除はなくなります。

 高額所得者世帯で影響が出るところがありそうです。

◆税制以外の年収制限要因

 税制面では控除額減額開始が年収150万円に引き上げられましたが、妻が単純に収入を増やしたいというわけではありません。

 夫の勤務する企業で扶養手当が支給される場合にその手当を支給する基準を年収103万円以下と定めている企業が多くあり、その金額を超えると手当が支給されなくなってしまいます。

 一般的に月数万円位が支給されているので収入を増やしても手当が無くなってしまう方が影響は大きいのです。

 また、社会保険の被扶養者は年収130万円未満とされていてそれ以上の収入になると自分で勤務先の社会保険に加入するか国保加入する事になります。

 さらに501人以上の企業では年収106万円を超えると企業の社会保険に加入しなければなりません。

 毎年秋になるとその年の年収を調整しなければならない妻の事情は今年も変わっていないようです。

◆社会保険加入に積極的な面も

 一方で2016年秋に年金制度が改正され501人以上の企業で週20時間以上勤務するパート等が厚生年金の加入対象者となった時に、保険料負担を嫌って短時間勤務を選ぶ人が多いとみていた政府は加入者の増加数に驚いたそうです。

 新規加入者25万人の予想を上回り、昨年末時点で1.5倍の37万人が新たに加入したからです。

 保険料負担をしても収入を増やして手取りを増やせる位働こうと考える人もいるという事です。

 人生100年時代に備えて将来の年金額を増やしたい人も増えている側面もあるのでしょう。

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2018年12月3日月曜日

年間平均給与 前年比10万円増

 国税庁が公表した2017年の民間給与実態統計調査によると、給与所得者数は4945万1千人で前年より76万人増加し、5年連続で過去最高を更新しました。

 また平均給与(賞与含む)は432万2千円で前年より10万6千円増えています。

 民間給与実態調査は、1949年から毎年実施されているもので、国は租税収入の見積もりや租税負担の検討、税務行政運営などに活用しています。

 1年間の従業員と役員の給与事情を「給与階級」「事業所規模」「企業規模」などの区別ごとに知ることができます。

 集計の対象となるのは、民間の事業所に勤務する給与所得者で、正規・非正規を問わず、パートやアルバイトも含まれます。

 ただし、全従業員について源泉所得税の納税がない事業所の従業員、労働した日にその都度給与の支給を受ける者は含まれていません。

 国家公務員や地方公務員、公庫職員ら官公庁で働く者も集計の対象外です。

 正規職員にみる男女差では、男性547万5千円(同1.4%増)、女性376万6千円(同0.9%増)で男女の格差はさらに広がりました。

 また非正規では男性229万4千円(同0.7%増)、女性150万8千円(同1.8%増)と、正規との給与格差が大きいことが分かっています。

 平均給与は調査が開始されてから年々上がり、1997年には467万3千円になりましたがそれを頂点として翌年からは減少傾向が続き、2013年より再び上昇に転じています。

 今回の平均給与額は前年より10万6千円増加しており、これは08年の数字(430万円)に近いものです。

 ところが1989年の平均年間給与額と比較すると、給与の中身は大きく異なっています。

 89年の給与に占める賞与の割合は26.4%でしたが、2017年は18.7%まで縮小しています。

 賞与を含まない平均年間給与・手当は318万4千円から364万2千円にアップしているものの、平均賞与は84万円から68万円まで下がりました。

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2018年12月2日日曜日

消費増税対策でクレカ払いにポイント

 来年10月に予定される消費税率10%への引き上げに備えた経済対策で、政府は中小店舗でクレジットカードなどキャッシュレス決済をした消費者に対し、購入額の2%分をポイント還元する制度の検討に入りました。

 増税後の景気下支えを狙うと同時に、中小店舗のキャッシュレス決済の導入拡大にもつなげたい考えです。

 クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済が対象。

 増税前後の税率差である2%分について、ポイントを発行するクレジット会社などを通じて消費者に還元し、クレジット会社の負担分に対し政府が補助金を出します。

 地域の商店街を支える中小店舗は財務基盤が弱く、消費増税による景気落ち込みの影響を受けやすいのが現状です。

 政府はこうした店舗に特化して経営を支援する考え。

 また、中小店舗では、カード会社に支払う手数料や端末設置の負担が重く、キャッシュレス決済が広がっていません。

 日本では中国や韓国に比べキャッシュレス決済の割合が小さく、経産省はこのポイント還元制度を中小店舗への導入促進の呼び水にしたい考えです。

 必要な端末も配布する方針。

 年末に向けて策定する2019年度当初予算案に盛り込む見通しで、関連費用は数千億円規模に膨らむ可能性があります。

 ただ、どのようなポイントで還元するのかやカード会社への補助の仕組みなど実務面での課題は多くあります。

 そもそも、増税分の2%分を国がそのまま消費者に還元してしまえば社会保障の充実などの財源がなくなってしまいます。

 経産省が主導する案ですが、財務省内からは「上げた分を下げるとなれば、何をやっているんだか分からない」(幹部)と冷ややかな声も漏れています。

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2018年12月1日土曜日

(後編)経団連:2019年度税制改正要望を公表!

 上記②では、事業者の事務負担を軽減する観点から、95%ルールを復活させるべきとしております。

 提言では、IoTやAIなどの技術を取り入れた新たな経済社会「Society5.0)」の実現に向けて、研究開発税制の拡充や税務分野におけるデジタル・ガバメントのさらなる推進等が重要と指摘しております。

 研究開発税制については、法人税額の控除上限を25%から30%へ引き上げるほか、期限切れを迎える控除率10%から14%の部分について延長・拡充することが必要であるとしました。

 国際課税については、米国における税制改正により外国子会社合算税制において合算課税や事務負担が増大するおそれがあるとして、その見直しやBEPS(税源浸食と利益移転)勧告の国内法制化、租税条約ネットワークの充実について慎重に検討すべきとしました。

 経団連では、「経済界としても民主導のイノベーションを通じて経済の好循環に引き続き貢献していく」とし、提言は与党税制調査会などに要望していくとしております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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