2015年11月29日日曜日

廃校施設の有効活用



 少子化による児童生徒数の減少や市町村合併などの影響により、廃校の数は増加しています。こうした中、廃校を地域資源として捉え、利活用することへの期待が高まっています。

  文部科学省「廃校施設活用状況実態調査(2014年5月現在)」によると、全国で毎年約500校が廃校となり廃校の数は5,801校にのぼっています。施設が現存している廃校5,100校のうち、活用されている廃校の数は3,587校と約7割にのぼっています。廃校の活用用途の内訳についてみると、学校(大学を除く)33.4%、社会体育施設20.8%、社会教育施設・文化施設15.1%などと多岐に亘っています。

  昨今ではとくに廃校を地域振興の拠点として活用する動きに注目が集まっています。その理由としては、第一に、廃校を活用することで同規模の建物を建設する場合と比較して費用の節約が期待できる点があげられます。第二に、廃校は地域の象徴であることから、地域に密着した事業を展開する際に地域の理解が得られやすい点があげられます。

  一方で、地域等から活用に関する要望がない、具体的な活用方法がわからないなどの理由から、遊休施設として残ってしまっている廃校も少なくありません。こうした中、文部科学省では、「~未来につなごう~『みんなの廃校』プロジェクト」を立ち上げ、各地方公共団体において活用方法や利用者を募集している未活用の廃校施設等の情報について集約、公表することで、廃校の活用を希望する民間企業、NPO法人、社会福祉法人、医療法人などとのマッチングを図ろうとしています。

  では、廃校施設の有効活用においては、具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。そこで廃校活用の具体的な事例をみていきましょう。

  文部科学省「~未来につなごう~『みんなの廃校』プロジェクト」では、取組みの一つとして、廃校施設等の転用において特徴的な事例を「廃校施設等活用事例リンク集」として取りまとめて公表しています。活用方法の分類は、「オフィス・工場など」、「児童・高齢者などのための福祉施設」、「アート創造拠点などの文化施設」、「体験学習施設・宿泊施設など」、「大学・専門学校などの教育施設」、「特産物販売・加工施設など」となっており、紹介されている事例の数は2014年11月現在で合計155事例に上っています。

  例えば、「体験学習施設・宿泊施設など」の分類では、島根県鹿足郡吉賀町において、旧・柿木中学校の施設を地域間交流施設として活用している、NPO法人エコビレッジかきのきむらの取組みが取り上げられています。同施設は、健康や環境問題に配慮したライフスタイルの提案を行うことを目的としており、自然体験や旧校舎を活用したオーガニックカフェの開設、農家暮らし体験、田舎料理づくり、木工教室、展示会の開催などによる地域情報の発信などさまざまな活動が行われています。

  また、「アート創造拠点などの文化施設」の分類では、京都府京都市において、旧・龍池小学校の施設をマンガの保存・展示、マンガ文化に関する調査研究などの施設として活用している京都国際マンガミュージアムの取組みが取り上げられています。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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