2014年度税制改正において、雑損控除に係る損失金額の算定方法が見直され、2014年分以後の所得税から、損失を受けた資産が減価償却資産の場合には、「時価」と「簿価」の有利なほうを選択できることになりました.
雑損控除とは、災害や盗難などによって納税者本人や生計を一にする親族の資産に損害を受けた場合や、納税者本人が災害などに関連してやむを得ない支出をした場合には、その資産の損失や支出のうち、下記の一定額を控除できるものです。
雑損控除額として控除できる金額は、
①「損失額(損害金額-保険金などで補てんされる金額)-所得金額×10%」
②「損失額のうち災害関連支出の金額-5万円」、のうちいずれか多い金額となっております。
2014年度改正では、災害の直前の価額であるいわゆる時価を算出することが困難なケースがあることなどから、減価償却資産については、いわゆる簿価ベースでの損失金額の計算が選択できることになりました。
これまで、「その損失の生じたときの直前における資産の価額(いわゆる時価)」を基礎に計算することとされていましたが、その資産が家屋等の使用または時間の経過により減価するもの、いわゆる減価償却資産の場合には、「その損失の生じた日にその資産の譲渡があったものとみなして譲渡所得の金額の計算をしたときにその資産の取得費とされる金額(いわゆる簿価)に相当する金額」を基礎とする計算が選択可能となりました。
このように、雑損控除の資産の損失の金額については、その資産が減価償却資産である場合には、「いわゆる時価」または「いわゆる簿価」を基礎として計算することができます。
そして、所得税基本通達等の一部改正において、この資産の損失の金額について、個々の資産ごとに計算できることを明らかにしております。
したがいまして、災害等により資産に損失を受けた場合に、A資産は時価、B資産は簿価を基礎として計算することができますので、該当されます方は、ご確認ください。
2015年1月28日水曜日
2015年1月24日土曜日
平成26年分所得税、復興特別所得税の確定申告情報(改正事項)
住宅税制の改正
1.(特定増改築等)住宅借入金等特別控除について、その適用期限が平成29年末まで延長されるとともに、平成26年4月1日以後平成29年末までの間に一定の住宅の取得等又は認定住宅の新築等をした場合における最大控除額等が拡充されました。また、建築後使用されたことのある家屋(耐震基準等に適合しないものに限ります。)を取得した場合において、一定の要件のもとでこの特別控除の適用を受けることができることとされました。
2.住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除又は認定住宅新築等特別税額控除について、その適用期限が平成29年末まで延長されるとともに、平成26年4月1日以後平成29年末までの間にそれぞれ一定の住宅耐震改修、住宅特定改修又は認定住宅の新築等をした場合における税額控除限度額等が拡充されました。
3.東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等特別控除の控除額の特例について、その適用期限が平成29年末まで延長されるとともに、平成26年4月1日以後平成29年末までの間に東日本大震災の被災者が新たに再建住宅を取得した場合における最大控除額等が拡充されました。
社会保険診療報酬の所得計算の特例
社会保険診療報酬の所得計算の特例(措法26)について、適用対象者から、その年の医業及び歯科医業に係る収入金額が7,000万円を超える者を除外することとされました。
10%軽減税率の特例措置の廃止
上場株式等の譲渡所得等及び配当所得に係る10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)の特例措置は、平成25年12月31日をもって廃止されました。平成26年1月1日以後は、本則税率の20%(所得税15%、住民税5%)が適用されます。
ゴルフ会員権等の譲渡損失の損益通算不可
主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)を譲渡して生じた譲渡損失については、給与所得などの他の所得と損益通算できないこととされました。
この改正は、平成26年4月1日以後の資産の譲渡により生ずる損失の金額について適用されます。
1.(特定増改築等)住宅借入金等特別控除について、その適用期限が平成29年末まで延長されるとともに、平成26年4月1日以後平成29年末までの間に一定の住宅の取得等又は認定住宅の新築等をした場合における最大控除額等が拡充されました。また、建築後使用されたことのある家屋(耐震基準等に適合しないものに限ります。)を取得した場合において、一定の要件のもとでこの特別控除の適用を受けることができることとされました。
2.住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除又は認定住宅新築等特別税額控除について、その適用期限が平成29年末まで延長されるとともに、平成26年4月1日以後平成29年末までの間にそれぞれ一定の住宅耐震改修、住宅特定改修又は認定住宅の新築等をした場合における税額控除限度額等が拡充されました。
3.東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等特別控除の控除額の特例について、その適用期限が平成29年末まで延長されるとともに、平成26年4月1日以後平成29年末までの間に東日本大震災の被災者が新たに再建住宅を取得した場合における最大控除額等が拡充されました。
社会保険診療報酬の所得計算の特例
社会保険診療報酬の所得計算の特例(措法26)について、適用対象者から、その年の医業及び歯科医業に係る収入金額が7,000万円を超える者を除外することとされました。
10%軽減税率の特例措置の廃止
上場株式等の譲渡所得等及び配当所得に係る10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)の特例措置は、平成25年12月31日をもって廃止されました。平成26年1月1日以後は、本則税率の20%(所得税15%、住民税5%)が適用されます。
ゴルフ会員権等の譲渡損失の損益通算不可
主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)を譲渡して生じた譲渡損失については、給与所得などの他の所得と損益通算できないこととされました。
この改正は、平成26年4月1日以後の資産の譲渡により生ずる損失の金額について適用されます。
2015年1月23日金曜日
法人税法上の繰延資産に注意!
法人が建物等を賃借する場合には、契約により保証金を支払うことが多いですが、その契約には、「保証金のうち退去時には○%は返還しない」と記載されていることがあります。
この場合、保証金のうち退去時に返還される金額相当額は保証金として資産計上する一方、保証金のうち返還されない金額相当額(いわゆる権利金)は、税務上は一時の費用とはならず、繰延資産として資産計上し、その効果の及ぶ期間において費用化します。
法人税法では、法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものを繰延資産としますので、ご注意ください。
具体的には、会計上の繰延資産である株式交付費・社債等発行費・創立費・開業費・開発費と、
①公共的施設等の負担金(アーケードの日よけなど)
②資産を賃借するための権利金等
③役務の提供を受けるための費用
④広告宣伝用資産を贈与した費用などの法人税法上の繰延資産があります。
資産を賃借するための権利金等では、建物を賃借するために支出した権利金(更新料を含む)、電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する引取運賃、関税、据付費用などがあります。
また、広告宣伝用資産を贈与した費用では、看板、ネオンサイン、ディスプレイケースなどの贈与費用があります。
法人税法上の繰延資産では、そのほか、その他自己が便益を受けるための費用として、同業者団体への加入金などがあります。
税法独自の繰延資産については、償却期間及び償却方法ともに定められており、償却限度額を超える部分については、法人税法上は費用とすることはできません。
例えば、権利金50万円を法人が一時の費用としても、税法では5年間(賃借期間が5年未満で、更新時に権利金等を支払う契約になっているときは、その契約期間)で費用化することになり、減価償却超過額については、税金の計算上は費用になりません。
ただし、支出額が20万円未満の少額な繰延資産については、一時の費用とすることができます。
中小企業者等には、取得価額30万円未満の減価償却資産について一時の費用とする制度がありますが、繰延資産については20万円未満となっていますので、ご注意ください。
この場合、保証金のうち退去時に返還される金額相当額は保証金として資産計上する一方、保証金のうち返還されない金額相当額(いわゆる権利金)は、税務上は一時の費用とはならず、繰延資産として資産計上し、その効果の及ぶ期間において費用化します。
法人税法では、法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものを繰延資産としますので、ご注意ください。
具体的には、会計上の繰延資産である株式交付費・社債等発行費・創立費・開業費・開発費と、
①公共的施設等の負担金(アーケードの日よけなど)
②資産を賃借するための権利金等
③役務の提供を受けるための費用
④広告宣伝用資産を贈与した費用などの法人税法上の繰延資産があります。
資産を賃借するための権利金等では、建物を賃借するために支出した権利金(更新料を含む)、電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する引取運賃、関税、据付費用などがあります。
また、広告宣伝用資産を贈与した費用では、看板、ネオンサイン、ディスプレイケースなどの贈与費用があります。
法人税法上の繰延資産では、そのほか、その他自己が便益を受けるための費用として、同業者団体への加入金などがあります。
税法独自の繰延資産については、償却期間及び償却方法ともに定められており、償却限度額を超える部分については、法人税法上は費用とすることはできません。
例えば、権利金50万円を法人が一時の費用としても、税法では5年間(賃借期間が5年未満で、更新時に権利金等を支払う契約になっているときは、その契約期間)で費用化することになり、減価償却超過額については、税金の計算上は費用になりません。
ただし、支出額が20万円未満の少額な繰延資産については、一時の費用とすることができます。
中小企業者等には、取得価額30万円未満の減価償却資産について一時の費用とする制度がありますが、繰延資産については20万円未満となっていますので、ご注意ください。
2015年1月19日月曜日
預金口座にマイナンバー適用へ
国民1人ずつに番号を割り当てる「税と社会保障の共通番号(マイナンバー)」が、銀行の預金口座でも使われる方針で話が進んでいます。既存の口座や新規口座に本人情報の一部として銀行に登録するよう国民に呼びかけるそうです。
マイナンバーは、社会保障や納税などに関する情報を一元管理するために、すべての国民に割り振られる個人番号。政府は今年10月に全国民に対して個人番号を記載した「通知カード」を郵送。来年1月から番号の利用がスタートします。
預金口座でのマイナンバー適用は、政府税制調査会では「公平な社会保障給付や徴税の観点からも導入すべき」との声が相次ぎ、適用義務化に向けて議論されていました。しかし、登録は当面「任意」とし、義務化は先送りされることも考えられています。
預金口座への適用はマイナンバー開始から2年後にスタートする予定。新規口座の場合、口座開設申請用紙にマイナンバーを記入する欄を設けるそうです。任意登録の進捗状況をみながら、義務化の是非を検討するとのことです。
政府は、脱税や生活保護の不正受給の防止に役立てる点をメリットとして強調しています。ただ、既存の膨大な数の預金口座に番号を振ることのコスト面での難しさなどが指摘されています。加えて、個人情報保護に関する課題はいまだ解決できていない実態があります。
マイナンバーは、社会保障や納税などに関する情報を一元管理するために、すべての国民に割り振られる個人番号。政府は今年10月に全国民に対して個人番号を記載した「通知カード」を郵送。来年1月から番号の利用がスタートします。
預金口座でのマイナンバー適用は、政府税制調査会では「公平な社会保障給付や徴税の観点からも導入すべき」との声が相次ぎ、適用義務化に向けて議論されていました。しかし、登録は当面「任意」とし、義務化は先送りされることも考えられています。
預金口座への適用はマイナンバー開始から2年後にスタートする予定。新規口座の場合、口座開設申請用紙にマイナンバーを記入する欄を設けるそうです。任意登録の進捗状況をみながら、義務化の是非を検討するとのことです。
政府は、脱税や生活保護の不正受給の防止に役立てる点をメリットとして強調しています。ただ、既存の膨大な数の預金口座に番号を振ることのコスト面での難しさなどが指摘されています。加えて、個人情報保護に関する課題はいまだ解決できていない実態があります。
2015年1月16日金曜日
相続申告20万人時代に突入?
平成25年の被相続人数(死亡者数)は126万8436人で、このうち相続税の課税対象となったのは5万4421人でした。課税割合は4.3%。前年から0.1ポイント上がっています。相続税の納税者である相続人の数は13万545人でした。国税庁が公表した資料で明らかになったものです。
相続税の課税価格は全体で11兆6253億円。この課税価格とは、相続財産価額から被相続人の債務・葬式費用を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から相続人への生前贈与財産価額と、相続時精算課税適用財産価額を加えた額を指します。そして税額は、全体で1兆5367億円でした。被相続人1人あたりでは、課税価格の平均は2億1362万円、税額は2824万円でした。
相続税は平成27年に最高税率が引き上げられ、一方で基礎控除額が引き下げられました。基礎控除額は定額部分が3千万円、比例部分が600万円×相続人の数であるため、課税ラインは「財産3600万円」です。このことで課税対象者が増えるのは間違いなく、その数は5割増しになるとも言われています。
今回のデータを単純計算で1.5倍にすれば、課税対象となる被相続人数(納税額が発生する相続税の申告書に掛かる人数)は8万2千人、納税が求められる相続人は19万6千人に増えることになります。「相続申告20万人時代」が目前に迫っているといえるかもしれません。
相続税の課税価格は全体で11兆6253億円。この課税価格とは、相続財産価額から被相続人の債務・葬式費用を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から相続人への生前贈与財産価額と、相続時精算課税適用財産価額を加えた額を指します。そして税額は、全体で1兆5367億円でした。被相続人1人あたりでは、課税価格の平均は2億1362万円、税額は2824万円でした。
相続税は平成27年に最高税率が引き上げられ、一方で基礎控除額が引き下げられました。基礎控除額は定額部分が3千万円、比例部分が600万円×相続人の数であるため、課税ラインは「財産3600万円」です。このことで課税対象者が増えるのは間違いなく、その数は5割増しになるとも言われています。
今回のデータを単純計算で1.5倍にすれば、課税対象となる被相続人数(納税額が発生する相続税の申告書に掛かる人数)は8万2千人、納税が求められる相続人は19万6千人に増えることになります。「相続申告20万人時代」が目前に迫っているといえるかもしれません。
2015年1月13日火曜日
相続以外の承継 事業承継した資産の償却方法
相続により減価償却資産を取得した場合の取扱いについては、被相続人の取得価額、帳簿価額及び当該資産の耐用年数は引き継ぎ、被相続人が選択した償却方法は引き継がない、と定められています。
このため、相続人が定率法を選択する場合には、新たに償却方法の届出が必要となります。
◆廃業した場合の償却資産の取扱い
例えば、父が事業を廃業し、その生計を一にする長男が父の事業を承継、父が事業の用に供していた店舗(当該店舗は父が旧定率法で償却していた)を無償で父から借り受けて事業の用に供した場合、長男の所得計算における上記店舗の減価償却費の計算はどの償却方法によるべきか、疑問が生じるところです。
◆課税当局の回答
課税当局の回答は、「旧定率法」により計算する、です。
その根拠は所得税法56条です。この規定からは、次のような解釈になります。
親族(父)がその有する資産(店舗)を無償で当該事業(承継した長男)の用に供している場合、居住者(長男)の事業所得の額の計算上、必要経費に算入する減価償却費は、居住者(長男)と生計を一にする親族(父)が所得金額の計算上、必要経費に算入する減価償却費である、ということです。
また、居住者の有する減価償却資産が年の中途において不動産所得、事業所得等を生ずべき業務の用に供された場合には、そのよるべき償却方法として旧定額法、旧定率法を選択している減価償却資産は、旧定額法、旧定率法等により償却費の額を計算することになっています。
◆回答に対する補足説明
相続により減価償却資産を取得した場合の取扱いとは異なり、父の廃業後、その事業を承継した長男が父の所有する店舗を無償で事業に供しています。
この場合、長男の当該事業に係る所得金額の計算上、必要経費に算入する減価償却費は、父が店舗使用の対価を受け取ったならば不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入する減価償却費になります。
したがって、この減価償却費の額は、父が選択していた方法、旧定率法により計算した減価償却費の額となります。結論は、償却方法は旧定率法、ということです。
このため、相続人が定率法を選択する場合には、新たに償却方法の届出が必要となります。
◆廃業した場合の償却資産の取扱い
例えば、父が事業を廃業し、その生計を一にする長男が父の事業を承継、父が事業の用に供していた店舗(当該店舗は父が旧定率法で償却していた)を無償で父から借り受けて事業の用に供した場合、長男の所得計算における上記店舗の減価償却費の計算はどの償却方法によるべきか、疑問が生じるところです。
◆課税当局の回答
課税当局の回答は、「旧定率法」により計算する、です。
その根拠は所得税法56条です。この規定からは、次のような解釈になります。
親族(父)がその有する資産(店舗)を無償で当該事業(承継した長男)の用に供している場合、居住者(長男)の事業所得の額の計算上、必要経費に算入する減価償却費は、居住者(長男)と生計を一にする親族(父)が所得金額の計算上、必要経費に算入する減価償却費である、ということです。
また、居住者の有する減価償却資産が年の中途において不動産所得、事業所得等を生ずべき業務の用に供された場合には、そのよるべき償却方法として旧定額法、旧定率法を選択している減価償却資産は、旧定額法、旧定率法等により償却費の額を計算することになっています。
◆回答に対する補足説明
相続により減価償却資産を取得した場合の取扱いとは異なり、父の廃業後、その事業を承継した長男が父の所有する店舗を無償で事業に供しています。
この場合、長男の当該事業に係る所得金額の計算上、必要経費に算入する減価償却費は、父が店舗使用の対価を受け取ったならば不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入する減価償却費になります。
したがって、この減価償却費の額は、父が選択していた方法、旧定率法により計算した減価償却費の額となります。結論は、償却方法は旧定率法、ということです。
2015年1月5日月曜日
国外居住の扶養親族 扶養控除適用の厳格化
◆扶養控除の適用要件
扶養控除の適用要件は、①配偶者を除く年齢16歳以上の親族(法令の規定に基づく児童等も含む)、②親族の年間の合計所得金額38万円以下、そして、③納税者と同じ家計で生活する、の3つです。
この3つの要件ですが、納税者の自己申告であり、適用にあたっては、特にその事実を証明すべき書類、例えば、親族であることを証明する戸籍謄本等、所得を証明する源泉徴収票等、そして、同居以外の場合、同一家計での生活を証明するための、送金の事実を証明する書類等の提出は不要となっています。
◆国外居住者の扶養親族
扶養控除の適用可否について、対象となる親族が国内に居住していれば、上記の3要件を確認することはそう難しくありませんが、対象親族が国外に居住しているとなると、その確認は容易ではありません。
要件の1つである、合計所得金額38万円以下の判定に関しては、その親族が我が国で得た所得、すなわち国内源泉所得だけで判定しますので、その把握はそう困難ではありません。
しかし、親族の証明、親族への生活費の送金事実の証明となるとなかなか厄介です。
国際結婚で国外に親族がいるようになった場合、我が国のように戸籍制度が確立していれば、親族であることを証明すべき公文書のような書類の提出を求めることもできますが、制度が整備されていないとすると、その信用性が担保できません。
また、同じ家計で生活していることの証明ですが、生活費の海外送金などの明細書等があれば問題ないのですが、現地で直接現金で渡した場合などは、その事実を客観的に証明することは困難です。
◆平成27年度の税制改正の行方
外国人と結婚した日本人や海外に親族を残して日本で働く外国人の扶養控除の実態を会計検査院が調査したところ、不確かな状況で扶養控除を受けている事実が散見され、中には扶養控除額だけで300万円超受けていた人は140人もいたことが明らかになり、新聞報道でも話題になりました。
そこで、財務省は、平成27年度の税制改正で、その適用を厳格化すべき方針を固めたようです。その内容ですが、親族が確認できる書類や送金明細書の添付の義務化等が挙げられています。
扶養控除の適用要件は、①配偶者を除く年齢16歳以上の親族(法令の規定に基づく児童等も含む)、②親族の年間の合計所得金額38万円以下、そして、③納税者と同じ家計で生活する、の3つです。
この3つの要件ですが、納税者の自己申告であり、適用にあたっては、特にその事実を証明すべき書類、例えば、親族であることを証明する戸籍謄本等、所得を証明する源泉徴収票等、そして、同居以外の場合、同一家計での生活を証明するための、送金の事実を証明する書類等の提出は不要となっています。
◆国外居住者の扶養親族
扶養控除の適用可否について、対象となる親族が国内に居住していれば、上記の3要件を確認することはそう難しくありませんが、対象親族が国外に居住しているとなると、その確認は容易ではありません。
要件の1つである、合計所得金額38万円以下の判定に関しては、その親族が我が国で得た所得、すなわち国内源泉所得だけで判定しますので、その把握はそう困難ではありません。
しかし、親族の証明、親族への生活費の送金事実の証明となるとなかなか厄介です。
国際結婚で国外に親族がいるようになった場合、我が国のように戸籍制度が確立していれば、親族であることを証明すべき公文書のような書類の提出を求めることもできますが、制度が整備されていないとすると、その信用性が担保できません。
また、同じ家計で生活していることの証明ですが、生活費の海外送金などの明細書等があれば問題ないのですが、現地で直接現金で渡した場合などは、その事実を客観的に証明することは困難です。
◆平成27年度の税制改正の行方
外国人と結婚した日本人や海外に親族を残して日本で働く外国人の扶養控除の実態を会計検査院が調査したところ、不確かな状況で扶養控除を受けている事実が散見され、中には扶養控除額だけで300万円超受けていた人は140人もいたことが明らかになり、新聞報道でも話題になりました。
そこで、財務省は、平成27年度の税制改正で、その適用を厳格化すべき方針を固めたようです。その内容ですが、親族が確認できる書類や送金明細書の添付の義務化等が挙げられています。
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