2015年9月30日水曜日

都市部の路線価は上昇傾向

国税庁が7月1日に公表した平成27年分の路線価では、全国平均は前年分を0.4%下回って7年連続の下落となりました。しかし、下落幅は縮小していて、都市部では上昇傾向にあることが明らかになっています。路線価は相続税や贈与税の税額算定基準となるもので、相続増税とあわせて都市部の土地所有者の税負担は増えそうです。
都道府県庁所在都市で最高路線価が前年分から上昇したのは21、横ばいは14、下落は12。前年分は前々年と比べてそれぞれ18、8、21だったことから、改善傾向にあることが分かります。
路線価が最も高いのは30年連続で「東京都中央区銀座5丁目 銀座中央通り」(鳩居堂前)です。1㎡あたり2696万円で、はがき1枚あたりの面積でも39万9千円という高額です。前年比は14.2%増で、都道府県庁所在都市の最高路線価として最も高い上昇割合となりました。ほかの道府県庁所在都市の最高路線価は「大阪市北区角田町 御堂筋」の1㎡あたり832万円、「名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り」の736万円、「横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り」の713万円、「福岡市中央区天神2丁目 渡辺通り」の500万円などでした。
なお、路線価では「鳩居堂前」が最高額でしたが、公示地価では同じ銀座でも「山野楽器銀座本店」、基準地価では「明治屋銀座ビル」が最も高い地点とされています。

2015年9月29日火曜日

ふるさと納税「Tポイント」のお返し取りやめ

千葉県市川市はふるさと納税への返礼品として「Tポイント」を贈る特典を7月31日で終了すると発表しました。総務省から「換金性の高いプリペイドカードに類する可能性がある」として自粛要請を受けていたもので、Tポイントカードが6月末からプリペイドカードとしても全国で利用できるようになったことを受け、取りやめを決定したものです。
自治体はふるさと納税制度で、寄付者に対して返礼品を贈ることができます。しかし、寄付金集めのために返礼品が高額化していることや、特産品と関係のない電子マネーを贈る自治体が出たことから、今年4月に、返礼品の価格表示や換金性の高いプリペイドカードなどを返礼として贈らないよう総務省から全国の自治体に通知を出していました。
市川市は総務省の通知に対して「ポイントは換金できず、プリペイドカードでもない」として付与を続けていましたが、6月30日から全国のコンビニエンスストアなどでTポイントカードが電子マネーとしても使えるようになったことを受け、打ち切りに踏み切りました。大久保博市長は「Tポイントを取り巻く環境が変化した。継続は好ましくないと判断した」とコメントしています。
Tポイントは全国のファミリーマートやTSUTAYAでポイントを代金の代わりとして充当することができるもの。市川市では1万円以上の寄付についてTポイントを2000ポイント付与するサービスを平成25年7月にスタートし、寄付額は24年度の約320万円から、26年度には約4300万円へと急増していました。

2015年9月28日月曜日

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置

2015年度税制改正において、父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度が創設され、内閣府では同制度に関するQ&Aを作成し、内閣府ホームページ上で公表しております。
それによりますと、Q&Aには、同制度の概要や適用を受けるための手続きとともに、法案が提出されてから注目されていた非課税対象となる結婚・子育て等の具体的な費目をはじめ、贈与者が死亡した場合の取扱いなどが掲載されております。
非課税枠は1,000万円ですが、結婚に際して支出する費用については300万円が限度となります。
その対象となる結婚・子育て資金(婚礼、住居、引越、妊娠、出産の各費用と、子の医療費、子の保育料に充てるための金銭)の詳細が明らかになりました。
婚礼費用、婚姻の日の1年前の日以後に婚礼事業者に支払われる婚礼のための施設の提供(会場費)、衣服の貸与(衣装代)、贈答品の販売(引出物代、お祝い返し代)その他の便益の提供(メイクアップ代、人件費、飲食代など)及びこれらに付随する物品の給付費用(ペーパーアイテム代)が対象となります。
住居費用については、住居の賃貸借契約で、婚姻の日の1年前の日から婚姻の日以後1年を経過する日までの期間に締結されるものに基づき、締結の日以後3年を経過する日までに支払われる家賃、敷金、共益費のほか、礼金、仲介手数料及び契約更新料が対象となります。
引越費用については、婚姻の日の1年前の日から婚姻の日以後1年を経過する日までの期間にする転居で、転居のための生活用家具その他の資産の運送費用が対象となります。
出産費用については、正常分べん・流産・死産の別を問わず、出産のための入院から退院までに要した費用が広く対象となります。
具体的には、出産の日以後1年を経過する日までに支払われる出産に係る分べん費、入院費、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料、入院中の食事代、その他出産のための入院から退院までの間に要する費用が対象となります。
受贈者自身が未婚の場合なども対象となりますので、あわせてご確認ください。

2015年9月27日日曜日

ふるさと納税のワンストップ特例

◆ワンストップ特例制度とは
ふるさと納税制度は納税者が、住んでいる場所以外の自治体に寄附し、寄附金控除として後に税金を軽減する、つまり住んでいる場所の他に納税できるという制度です。
しかしながら、確定申告をする必要の無い、給与収入のみのサラリーマンの方には、寄附金控除を申請する確定申告書の作成はハードルが高く感じられるかもしれません。そんな懸念を払拭すべく、今年の改正から確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」が創設されました。
◆条件を満たせば確定申告不要
確定申告が不要になる、というのは聞こえが良いですが、以下の条件を満たさなければ、ワンストップ特例は使用できません。
1.確定申告の必要が無い方
2.5カ所以内の自治体への寄附
3.寄附する自治体毎に確定申告不要の申し出をして、自治体から送られてくる「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を返送する
◆こんな時はどうなるの?
例えば「年の途中に医療費控除をする事になった」場合など定申告をする必要が出た場合は、確定申告でふるさと納税の寄附金控除もあわせて申告する必要があります。もし寄附金控除を申告し忘れると、いつまでたっても税金の軽減は受けられませんので、注意が必要です。
また、年の途中で引っ越しをして居住している自治体が変わった場合は、その旨を寄附した自治体に知らせなければ、いつまでたっても税金の軽減は受けられません。
◆実際は使いにくいかも?
控除される上限の金額が引き上げられ、寄附して特産品を貰える数が増えたにもかかわらず5カ所に寄附するなら5回書類を作って送る」という手間がかかってしまうのがワンストップ特例です。また、医療費控除等で申請が無駄になってしまう場合もあり、実際には非常に便利だ、と手放しで喜べる制度ではありません。
税制改正大綱には「当分の間の措置として」と書かれています。おそらくは今後、マイナンバー制度と連動しもう少し使い勝手をよくするのではないかと思われます。

2015年9月26日土曜日

税務調査で指摘される!消費税の課税、非課税は慎重に

◆必ずチェックされる項目
法人の税務調査で必ずチェックされる項目の一つは、消費税の課税仕入、非課税(または不課税)仕入の区分間違いの有無です。
最近の税務調査では、この消費税申告の計算の基礎となる消費税区分集計表を、調査日より前に、あらかじめ提出するよう求められるケースもあります。
◆科目ごとのよくある間違い
帳簿作成や会計ソフトの入力時に、消費税区分を間違えることがありますので、以下の項目は課税仕入れにならない(納める消費税から差し引けない)ということを覚えておくと良いでしょう。
(1)海外出張旅費
消費税は日本国内の消費に課税されるものですので、国外での飲食費や宿泊費などは消費税がかかっていません。海外への飛行機代やその日当なども同様です。
(2)社宅などの家賃
居住用の家賃支払いについて、消費税は非課税とされています。賃貸借契約書で使用目的に居住用と記載がある場合、消費税がかかっていませんので、注意が必要です。
(3)クレジットカード手数料
飲食店などの小売業では、カード売上に係る手数料を引かれて、カード会社から売上金額が入金されます。この手数料は非課税とされておりますので、消費税はかかっていません。
(4)慶弔費、祝い金、見舞金
従業員に対して支給するこれらの費用は「福利厚生費」、取引先に対しては「交際費」となりますが、やはり消費税はかかっていませんので、課税仕入にしないよう注意してください。
(5)同業者団体や組合の通常会費
何らかのサービスに対して支払うものではなく、通常の業務運営のために支払う年会費などは消費税がかかっていません。
◆経理担当者と税理士のチェックで防げる
これらの間違いがあると、修正申告によって消費税を後から納めることになってしまいます。日々の帳簿作成のときから税務調査で指摘されないよう気を付けましょう。

2015年9月25日金曜日

『遊興税』初めて導入した自治体。

舞踏や音楽芸能などで客をもてなす芸妓(げいぎ)の招聘を伴う飲食・遊興への支払に課税する「遊興税」(地方税)を初めて導入したのは、大正8年に金沢市が市税として導入しました。
条例は「本市内に於ける料理店、貸席、貸座敷にて芸娼妓を招聘して飲食又は遊興をなし金員を消費せしものに課税する」とされています。当時の大蔵省主税局国税課長は、「贅沢者流などの濫費の一部を徴する金沢市の企てのことはよい事」と『東京朝日新聞』で述べたそうです。
1年後には5県38市にまで遊興税導入が拡大。昭和14年の段階では東京府と沖縄県を除いた全道府県が府県税として採用しました(東京市、八王子市、那覇市は市税として課税)。この昭和14年に「遊興飲食税」として国税になり、芸妓の招聘を伴わない料理店での飲食代や旅館の宿泊料なども課税対象となりました。遊興飲食税の税率は、遊興飲食の内容で変化する。芸妓への支払代金(いわゆる「花代」)で見ると、導入当初は20%だったが、昭和19年には300%にまでなったそうです。増税は、戦争を背景に、消費を抑圧するといった意味合いがあったようです。
 遊興飲食税は昭和22年3月で廃止となり、4月から再び地方税としての遊興税(課税標準は遊興飲食税と同様)となりました。その後、名称を変えて存続しましたが、地方消費税の創設などで平成12年3月に廃止となりました。

2015年9月24日木曜日

弁当の路上販売を許可制へ

⒈東京都で弁当の路上販売規制強化
お昼時、オフィス街で安く手軽に購入できる弁当の路上販売。ここ数年、路上に大量の弁当等を陳列して販売する形態が多く見られるようになりました。これに対し、東京都では衛生環境等を懸念する声から対応を検討していましたが、いよいよ今秋から具体的な規制がされることになりました。
⒉「弁当等人力販売業」で許可制に
東京都内で弁当販売を行うためには原則、施設基準や一定の資格を要する人的基準を満たした上で許可を受ける必要があります。しかし、弁当を「人力による移行」で販売する場合は「行商」に当たり、この場合、これまでは「許可」を受ける必要はなく「届出」をすれば足りるとされていました。これは、行商が「人が一人で運搬できる量を取り扱う」小規模な営業を想定していたことから来ていましたが、近年では業者の大多数が弁当の運搬に自動車を使っており、本来の想定よりも大規模な営業を行っている実態などを受け、「弁当類」「そう菜類」の移動販売業者を「弁当等人力販売業」として許可制にしたのです。
⒊「許可」と「届出」の違いとは?
そもそも「許可」と「届出」ではどのように違うのでしょうか。「許可」とは、公共の安全や秩序の維持などの公益上の理由から、法令で一般的に禁止されている行為について、特定の場合に限ってその禁止を解除する行政行為を言います。たとえば今回の例で言うと、食品を販売することは、本来誰でも自由にできるはずです。しかし、食中毒などが発生する場合を考慮し、法令で自由に販売できないようにしています。これに対し、食品販売に関する営業許可をとることにより、この禁止を解除できるようにしているのです。次に「届出」とは、法令で定められている特定の行為について、一定の事項を予め行政官庁へ通知することを言います「許可」の場合、申請した行政官庁から「許可」や「不許可」の判断を受けますが、「届出」には行政官庁の判断がなく、必要な要件(書類)を満たしてさえいれば、行政官庁に到達することで完了します。
このように、どちらも同じ行政上の手続きですが、両者でその性質が異なります。今回の条例改正で「届出」から「許可」になり、衛生面が向上することに期待が持てる一方、少なからず業者に負担がかかるわけですが、他の道府県での対応も含め、今後の販売にどのような影響が出るのか、気になるところです。

2015年9月23日水曜日

「申告書の自主点検と税務上の自主監査」に関する確認表を公表!

 国税庁は、調査課所管法人を対象として、「申告書の自主点検と税務上の自主監査」に関する確認表を公表しました。
納税者から提出された申告書のチェックや税務調査の結果から、誤りが生じやすいと認められる事項を表形式に取りまとめ、「申告書確認表」及び「大規模法人における税務上の要注意項目確認表」として、国税庁ホームページに掲載しておりますので、ご確認ください。
この背景には、を用いて、国税庁は実地調査以外の多様な手法納税者に自発的な適正申告をしてもらう取組みを充実させていくこととしており、調査課所管法人が申告書を提出する前に、申告書の自主点検や税務上の観点からの自主監査を行う際に活用してもらうために、この確認表を作成したものとみられております。
なお、この取組みは2015年3月以降に決算期が到来する法人を対象としておりますので、該当されます法人は、ご注意ください。
「申告書確認表」は、提出直前の申告書の自主点検に活用してもらうものです。
 「大規模法人における税務上の要注意項目確認表」は、申告書を作成される前の決算調整事項や申告調整事項の把握漏れ等の自主監査に活用してもらうものです。
国税庁では、確認表の活用により、継続して申告書の自主点検や税務上の自主監査を実施してもらうことにより、申告誤りや税務処理誤りが予防されていけば、税務上のリスクの軽減につながるものと考えている模様です。
また、確認表については、適正申告の一助となればとの趣旨で提供するものなので、申告書に添付する必要はありません。
国税庁は調査課所管法人に対して確認表の活用を促進することとした理由について、「調査課所管法人においては、既に、税務面においても適正申告に向けた自主的な対応を行っている法人も少なくない」としたうえで、「そうした法人の自主性を後押しし、効率的に税務コンプライアンスの維持・向上を図っていくことが、納税者における税務上のリスクの軽減のほか、国税当局にとっても事務の効率化に繋がるもの」と示しております。

2015年9月22日火曜日

《サービス付き高齢者向け賃貸住宅》の固定資産税が軽減延長!

2015年度税制改正において、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づく新築のサービス付き高齢者向け賃貸住宅の固定資産税の軽減措置が、自治体が独自に条例で規定する地域決定型地方税制特例措置(わがまち特例)を導入したうえで、2017年3月末まで2年間延長されました。
高齢社会への進行に対応するため、国が力を入れているのがサービス付き高齢者向け賃貸住宅です。
サービス付き高齢者向け賃貸住宅とは、バリアフリー化された居住空間で医療・介護等のサービスが受けられる高齢者向けの住宅をいいます。
税制面では、これまで2011年10月20日から2015年3月31日までの間に新築された住宅が軽減対象でしたが、適用される期間が2年間延長されました。
また、固定資産税の3分の2が新築後5年間減額されますが、減額対象となるのは居住部分のみ1戸当たり120平方メートルまでで、サービス付き高齢者向け住宅部分に限られ、店舗等が併設されていても、その部分は対象となりませんので、ご注意ください。
具体的な減額要件として、
①サービス付き高齢者向け住宅として登録されていること
②床面積が1戸当たり30平方メートル以上280平方メートル以下(共用部分を含む)
③戸数が戸以上
耐火建築物(主要構造部を耐火(準耐火)構造とした建築物)であること
⑤国又は地方公共団体からサービス付き高齢者住宅に対する建設費補助を受けていること
新築であり、入居者と賃貸借契約を結ぶものに限ります。
なお、適用を受けるためには、住宅を新築した翌年の1月31日までに、必要書類を添えて申告する必要があります。
上記の必要書類は、サービス付き高齢者向け住宅に対する固定資産税の減額申告書、サービス付き高齢者向け住宅として登録を受けた旨を証する書類の写し、国又は地方公共団体の建設費補助を受けている旨を証する書類の写し、各階の平面図などをいいます。

2015年9月21日月曜日

《育児関連助成金》要件緩和や受給額アップ

《改定された中小企業両立支援助成金
以前からあった育児関連の中小企業両立支援助成金は支給額が上がったり、要件が緩和されたりと内容が変更されているので紹介します。
《代替要員確保コース》
①育児休業を終了した労働者を、原職又は原職相当職に復帰させる旨の取り扱いを就業規則等に規定する
②休業取得者の代替要員を確保
③休業取得者を原職又は原職相当職に復帰
支給額 対象労働者1人あたり  30万円
支給対象者が期間雇用者  10万円加算
1企業5年間、1年度延べ10人まで
支給申請期間 育児休業終了日の翌日から起算して6ヶ月を経過する日の翌日から2ヶ月以内
《期間雇用者継続就業支援コース》
①期間雇用者と正社員が同等の要件で利用できる育児休業制度、育児短時間勤務制度を就業規則に規定
②期間雇用者の育児休業取得者を原職又は原職相当職に復帰させ、6ヶ月以上継続して雇用等
支給額 1人目 40万円/2人から5人目までは15万円
休業終了後、正社員で復職した場合は1人目10万円、2人から5人目5万円加算
育児休業を終了した期間雇用者が平成25年4月1日以降28年3月31日までに出た事業主が対象です。
支給申請期間 育児休業終了日の翌日から起算して6ヶ月を経過する日の翌日から2ヶ月以内
《育児復帰支援プランコース》
①労働者と面談し、育児復帰プランナーの支援を受けて育児復帰支援プランを作成
②プランの実施により、育児休業予定者の業務の引き継ぎを行い、当該者が3ヶ月以上育児休業(産後休業を含む)を取得
③プランの実施により上記の対象となった育休取得者の育休中に職場に関する情報、資料の提供を実施
④職場復帰前後に育児休業取得者と面談し原職又は原職相当職に復帰させ、6ヶ月以上継続して雇用  1企業各1回支給
育児休業取得時 30万円
職場復帰時    30万円