2018年8月13日月曜日

【時事解説】ガバナンスを支えるのは倫理観 その2

 社外取締役の導入などの外形的な統治制度もガバナンスの構築に相応の効果があることは事実です。

 ただ、そうしたことを整備すればそれですべてオーケーではないということは認識しておかなければなりません。

 外形的な不祥事防止策や統治体制を整備したところで、不心得者がいれば、どんな防御壁も必ず乗り越えてしまいます。

 岩井氏が言う通り、会社のガバナンスは究極的には社内で実質的に業務を行う役職員の倫理観によることを忘れてはいけません。

 東芝のように、会社幹部である取締役が不祥事に関与していると、その打撃は致命的で、信頼の回復は容易ではありません。

 取締役の倫理観は絶対要件です。取締役は人数が限られていますから、取締役の倫理観を保つことはさほど困難ではありませんが、難しいのは人数が多い一般社員の倫理観の醸成です。

 「ならば、社員向けに倫理研修を増やせばいいじゃないか」と考えるのは、それこそ外形的な体制整備に過ぎません。

 何か問題が起きたとき、外形さえ整えれば、それで十分と考えるのは短絡的です。無論、会社外部の人から見れば、外形が整っていることは重要です。

 しかし、会社内部の人間に問われているのは整えた外形を実質的にどう機能させるかということです。

 月並みな表現になりますが、「形に心を入れる」ことが経営者の役割だといえます。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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